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山井 康浩(やまい・やすひろ)

ボストン コンサルティング グループ(BCG) パートナー&マネージング・ディレクター

山井 康浩

東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学経営学修士(MBA)。日本銀行、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て現在に至る。金融・保険分野を中心に数多くのプロジェクトを手掛ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

徹底予測2015 BCGが注目する4つの産業トレンド

次世代の金融サービスは「アラジンの魔法のランプ」

2014年11月27日(木)

 新興国の失速で世界経済の牽引役が見当たらない中、円安・株高を導き、国内の景気を押し上げてきたアベノミクスにも変調の兆しが見え始めた。国内外で先行きの不透明感が増す中、来る2015年をどう見通せばいいのか。そのために押さえておくべき4つの産業動向を、ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナーが解説する。今回は、金融サービス業を取り上げる。

 「アジアの銀行の事業基盤は、モバイル・インターネット事業者の脅威を受けて大きく揺らいでいる。生き残りのために事業モデルのデジタル化は喫緊の課題である」

 これはシンガポールの銀行最大手DBSのCEO(最高経営責任者)、ピユシュ・グプタ氏の最近の発言である。IT(情報技術)システム・店舗・人材など、過去の事業構造からの脱却に苦しむ先進国に先んじて、新興国ではいま、金融サービスのデジタル化の波が押し寄せている。

新興国発のデジタル革命

 例えば、中国最大手のネットコマース事業者であるアリババ集団。同社は、BtoC(消費者向けビジネス)のEC(電子商取引)サイトの「淘宝網(タオバオ)」、BtoB(企業間取引)サイトの「アリババ・ドット・コム」、オンライン決済サービスの「支付宝(アリペイ)」など、多様なビジネスを展開している。

 アリババはネット事業の多角化の一環として、2013年に資産運用ビジネスに参入。直後に発売した中国元建てのMMF(マネー・マーケット・ファンド)である 「余額宝(ユエバオ)」は、わずか11カ月で1億口座、10兆円の預かり資産(MMFとして世界4位)を超える規模まで成長した。

 成功の要因は、金利面でのお得感に加え、ネットコマースで使うサイト・ネット口座で1元からワンクリックで買える仕組みなど、ユーザー視点で徹底研究を重ねたプラットフォームの作り込みにあると見られる。今後はこれをテコに、銀行・証券・ローンの総合金融サービスからなる金融のエコシステム(生態系)を構築すると見られている。

 もう1つ実例を挙げよう。ポーランドの中堅銀行BRE 銀行が2000年に立ち上げたオンライン・バンクのmBankだ。先進的なデジタル技術を活用したそのサービスは、グローバルの金融プレーヤーの間でも高く注目されている。

 世界中どこにいても、24時間365日、ワンクリックで画面にオペレーターが現れ、あたかも「ご主人様、御用でしょうか」とでもいうように、顧客の資産運用の悩みに対応してくれる。筆者も実際のデモをこの目で見たが、アラジンの魔法のランプの現代版のようである。

 このほか、SNS(交流サイト)のフェイスブックと連携した個人間決済、ゲーミフィケーション(ゲームの要素を取り入れたサービス)、ポイントサービスなどで、特に若年層の心を捉えることに成功。現在、BRE銀行はポーランド第3位にまで躍進した。mBankの成功を受け、同行は銀行グループのブランドを「mBank」へと刷新することを決めた。

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