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伊藤 公一朗(いとう・こういちろう)

米ボストン大学助教授

伊藤 公一朗

宮城県仙台市生まれ。仙台一高、京都大学経済学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学修士課程、カリフォルニア大学バークレー校博士課程修了(Ph.D)。スタンフォード大学経済政策研究所研究員を経て、2013年よりボストン大学ビジネススクール助教授。専門は、環境・エネルギー経済学、産業組織論、公共経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

環境規制の抜け道が、日本のクルマを重くした

2014年12月8日(月)

 ガソリン価格の高騰や環境意識の高まりによって、燃費は自動車購入の際の重要なポイントになってきている。経済政策という点から見ても、日本をはじめ、多くの国において「自動車燃費規制」や、「エコカー減税」など、燃費向上を促す政策が数多く実施されている。筆者が住む米国でも、2012年にオバマ大統領がCAFEスタンダード(アメリカの自動車燃費規制)の大幅な見直しをした。

 その新たな政策デザインにおいて、筆者と共著者のジェームズ・M・サリー米シカゴ大学助教授が着目したのが以下の点である。

図1:2012年に改訂されたアメリカの自動車燃費規制
自動車の燃費規制値が、自動車のFootprint(面積)が大きくなるほど緩くなる制度設計になっている。

 図1に示したように、米国の新たな規制では、「自動車のfootprint(面積)が増えるほど燃費規制値が緩くなる」という方式が採用された。つまり、面積の小さい車ほど要求される燃費規制値が高く、面積の大きい車ほど要求される規制値が緩いということだ。

クルマを大型化すれば規制をクリアできる

 もちろん政策担当者が目指しているのは、それぞれの自動車で燃費を向上させることにある。つまり、グラフ上で言えば、それぞれの車が「上に移動してくれること」だ。しかし、ちょっとここで考えてみて欲しい。それぞれの自動車は「上に移動すること」もできるが、グラフ上で「右に移動すること」もできる。どういうことかと言うと、燃費を向上せずとも「車のサイズを大きくすること」で規制をクリアできてしまう可能性があるのだ。

 経済学の理論で考えると、こういった企業行動が理論的には予測されるが、実際に燃費政策が車のサイズを大きくしてしまうなどということが起こるのだろうか? 米国の政策は始まったばかりのため残念ながらデータが十分にない。そこで、私たちが注目したのは日本の自動車燃費規制政策だ。

図2:日本の自動車燃費規制

 日本では、自動車の燃費規制値が、自動車の重量が大きくなるほど緩くなる制度設計になっている。図では、2008年に導入された政策変更前の規制値(オレンジの点線)と政策変更後の規制値(緑の実線)を示している。

 日本は、このような自動車燃費規制政策を米国に先駆けて実施していた。1970年代から始まったこの政策は何度か政策変更があったものの、図2に示したような政策デザインの基本は変わらない。図で示しているのは2008年までの規制値と2008年以降の規制値だ(注:厳密には前者は2010年までの規制として導入されたが、2008年時点で新たな目標値が発表されたため、実質的には2008年から新政策が始まる形となった)。

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