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三田村 蕗子(みたむら ふきこ)

フリーライター

三田村 蕗子

福岡生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。流通を皮切りにビジネスの幅広いテーマを手掛け、現在、ビジネス誌や経済誌、流通専門誌で活動中。2014年11月下旬から経済成長著しいバンコクに拠点を移し、東南アジアのハブだからこそできる取材活動にも力を入れている。移住の経緯やバンコク情報は、ホームページで発信中。

◇主な著書
ブランドビジネス』(平凡社新書) 2004
夢と欲望のコスメ戦争』(新潮新書) 2005

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

バンコク繁盛記

“キッチンなしでも普通”の国で、料理教室?!

2017年11月16日(木)

 ご存知の方も多いだろうが、タイにはキッチンがない住宅が珍しくない。シンク(流し)があってもベランダに置かれているという部屋もある。自炊をしない多数派のタイ人を支えているのは、充実した外食環境だ。屋台や食堂、フードコート。街に出ればいくらでも安くて美味しい食事が簡単に手に入る。ほぼ100%、持ち帰りもOKだ。

 そんな国へ、海外6番目の拠点として2015年に進出したのがABCクッキングスタジオ。

 「作らずに食べる」選択肢が無数にあるだけに、料理教室の進出先としては不向きのように思えるが、レギュラーコースへの入り口となる1回完結の1dayレッスンやトライアルレッスンの申込みは月300~400件。今年9月に開催されたJAPAN EXPO(日本の観光、留学、食、アニメ・漫画などの情報を発信するイベント)では3日間だけで260件の申込みを獲得し、2017年9月の売り上げは過去最高を記録した。タイ法人の躍進は、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシアなど世界各地のABCクッキングスタジオからも注目の的だ。

 いったい、どうやったのだろう?

 「タイ人は料理や食への関心は非常に高いんですよ。クッキングスタジオは6回、12回、18回分の料理教室のチケットを購入していただくシステムですが、タイの入会時の人の購入価格は平均2万バーツ(約66000円)。大半が一括でポンとチケットを購入されます」(ABCクッキングスタジオタイランド・コーポレートセールスマネージャーの藤本真紀子氏)

「商品は一つじゃない。スタジオからいろいろ創っていくのが私の仕事」と話すコーポレートセールスマネージャーの藤本真紀子氏。

 通っている生徒の料理習慣にも驚かされた。生徒のうち、全体の2割が毎日料理をし、5割は週に1回料理をしている。まったく料理をしないという人は1割。料理教室の生徒だから料理に興味があるのは当然といえば当然だが、この数字は意外なほど高い。

コミュニケーションツールとしての需要があった!

 いつのまにかタイ人は自炊派に転じていたのかと思いきや、藤本氏はこう指摘する。

 「料理に対する考え方が日本人とは違うんですね。タイ人にとって料理はコミュニケーションの一環。日本の場合は、習い事として料理をとらえ、うまくなって資格を取ってステップアップを図りたいという方が多いのですが、タイ人には上級クラスに進もうという発想は薄い。生活に潤いを与え、ライフスタイルに彩りを添えるための手段です」

 例えば、料理をいままさに習っている最中にタイ人は頻繁に写真を撮る。撮った写真はすかさずSNSにアップ。自分が作ったパンやケーキを周囲にアピールするためだ。

完成したケーキを手に自撮りした画像はSNSにアップするのがお約束。投稿がABCクッキングスタジオの知名度アップにも貢献している。

 「最初の海外進出国である中国では当初レッスン中のスマホ撮影を禁止していましたが、要望があり、撮影については対応することにしました。もちろん調理の工程によっては撮影はできませんし、始終撮りまくっているわけではありません。でも、アジアの国はどこも写真が大好き。SNSにアップされるとPR効果もあるのでありがたくもありますね」

 タイのABCクッキングスタジオには著名な女優やモデルもよく通っているが、彼女たちが料理を学ぶのは家で作るためではない。料理教室で撮った画像や動画は「ほら、私が作ったケーキ。素敵でしょう」と新しいライフスタイルを見せるひとつの方法だ。

 タイにおける料理教室の役割は人気コースからもうかがえる。

 日本同様、タイのABCクッキングスタジオではパン、ケーキ、料理、その他(キッズコースなど)の5つのコースを設けているが、集客力が高いのは圧倒的にケーキとパン。ケーキコースの受講者数は全体の42%、パンコースは33%。一方、日本や台湾でもっとも人気が高い料理コースは19%にすぎない。

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