• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

奥山 真司(おくやま・まさし)

地政学・戦略研究家

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。著書『地政学:アメリカの世界戦略地図』のほか、訳書にJ・ミアシャイマー著『大国政治の悲劇』、N・スパイクマン著『平和の地政学』、C・グレイ編著『進化する地政学』、R・カプラン著『南シナ海』、そしてE・スローン著『現代の軍事戦略入門』などがある。

◇主な著書
地政学:アメリカの世界戦略地図』(五月書房) 2004

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

これを知らずにもうビジネスはできない! 「あなた」のための「地政学」講座

日本が関わる戦争は将来100%起こる

2015年7月15日(水)

 いよいよ本連載も今回で最後になる。日本を取り巻く安全保障環境を地理的な面から地政学的に考えてみたい。

 日本は地政学的に見てどのような位置づけにあるのか――いま一つ分かりづらいと感じている方がいるかもしれない。

 その理由は大きくわけて2つある。一つは地政学、とりわけ古典地政学で使われる「シーパワー」や「ランドパワー」の概念が、現代のわれわれにとって縁遠いものになってしまっているからだ。戦後の特殊な安全保障環境の中で、日本のメディアや教育界が軍事や戦略に関する議論そのものを忌避してきたことが背景にある。

 もう一つは、地政学的なものの見方に、われわれ日本人がいまひとつ慣れていない点にある。地政学的なものの見方は極めて特殊なものだ。とりわけ、帝国主義を源流とする「上から目線」の、スケールの大きいとらえ方に違和感を覚える方がいるだろう。

 ところが、現代のようにグローバル化が進むと、日本は以前よりも大きな視点から対外政策を決定する必要に迫られる。この際の一つのツールになるのが、本連載で紹介してきた地政学なのだ。

 では地政学的な見方をした場合、日本はどのような状況に置かれており、今後どのような対外政策をとっていくべきなのだろうか?

日本は「シーパワー国家」か?

 日本について書かれている地政学本を読むと、「日本はシーパワーを基礎とした海洋国家であり…」という決まり文句で紹介されている。たいていの場合、全く疑いのない前提としてこう書かれる。

 ところが、シーパワー論の聖書である『海上権力史論』の序章でマハンは、ある国が海洋国家・シーパワー国家であるかどうかを判断する基準として、(1)地理的位置、(2)海岸線の形態、(3)領土範囲、(4)人口、(5)国民性、(6)政府の性格という6つの要素を挙げている。

 実際にこの基準を日本に当てはめると、(1)から(4)までの純粋に地理的な部分は確かに「シーパワー」として該当する。しかし、(5)国民性と(6)政府の性格については、日本が「海洋国家」に当てはまるか、疑問符がつく。

 日本のシーパワーの伝統を研究した代表的な論文に、「日本のシーパワー:海洋国家のアイデンティティの悩み」がある。立川京一氏と佐島直子氏が書いたもので、オーストラリア海軍のウェブサイトに掲載されている。ここでは、日本のシーパワーの伝統が、歴史上何度か断絶したことが正確に指摘されている。これを読むと日本が「伝統的な海洋・シーパワー国家」とは言い切れないことが分かる。

 日本の歴史を振り返ると、「シーパワー的な勢力」が確かに存在していた。倭寇や村上水軍はその代表だ。明治から昭和にかけての帝国海軍は、世界トップクラスの海軍力を誇っていた。

 けれどもマハンが示した基準の(5)国民性と(6)政府の性格を考える時、「国家・国民が海軍力を積極的に活用してきた」とは言い切れないのではないか。

 これは戦後になってからも同様だ。確かに戦艦大和の伝統を生かして巨大なタンカーをつくった造船業の強さは「シーパワー神話」になっている。だが、たとえばシーパワー国家の代表格である英国のように、海軍力と海運を「積極的かつ主体的に活用してきた」かと言うと、やはり怪しい。

続きを読む

著者記事一覧

もっと見る

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もっと事業を効率化して、料金を下げて、消費者に貢献しないと業界はだめになってしまう。

和田 眞治 日本瓦斯(ニチガス)社長