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田中 聡史(たなか・さとし)

豪クイーンズランド大学助教授

田中 聡史

2004年一橋大学経済学部卒業。2006年、同修士課程終了。2012年、米ミネソタ大学より経済学博士号(Ph.D.)取得。2012年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

「気鋭の論点」

いまや家事は、生産性の低い「衰退産業」!?

2015年4月21日(火)

 小さな女の子に「将来どんな仕事に就きたいの?」と尋ねた時に、「お嫁さん」という答えが返ってくるのは、決して珍しくないだろう。ここでは、「お嫁さんは仕事じゃないよ」と指摘するのがパターンだろうが、「お嫁さん」を、家事などの「家庭内労働」を主に行う「職業人」として捉えると、多少見方が変わるかもしれない。米国のデータを見る限り、家庭内労働(以降、単純化のために家事と呼ぶ)は対GDP(国内総生産)36%(2010年)という付加価値を生む、巨大産業だ。

衰退している「家事」という産業

 そして、この家事という巨大産業が、衰退の傾向を示している。図1は、米国のデータを使って、家事と、サービス業の「拡大」総消費における付加価値の割合をプロットしたものだ。ここでいう「拡大」総消費とは、国民所得勘定のデータに表れる総消費に、データに表れない家事の付加価値分を足したものである。赤い実線が家事、青い実線がサービスを示している。

図1:米国で家事とサービス産業が生み出す付加価値が消費に占める割合(1947年~2010年)

 図1から明らかなように、家事の生み出す付加価値の消費における割合は、減少の一途をたどっている。そしてそれと相反するように、サービス産業の生み出す付加価値の割合は上昇している。

 これらの変化には、どういったメカニズムが働いているのだろうか? 家事の衰退とサービス産業の発展には何か関係性があるのだろうか? 時代背景に詳しい読者であれば、1980年代以降米国では女性の社会進出が進んだから、それが原因だと答えるかもしれない。では、そもそもなぜ女性の社会進出が進んだのだろうか?

 著者が、イタリアのカリアリ大学のアレッシオ・モロ助教授、オーストラリアのモナシュ大学のソルマズ・モスレヒ助教授と行った最近の研究では、既存の経済学のツールと、「労働生産性」という概念を使って、家事とサービス産業の関係とその消費における割合の変化について説明を試みた。

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