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井上 高志(いのうえ たかし)

ネクスト社長

井上 高志

1968年東京都生まれ。91年、青山学院大学経済学部卒業後、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)に入社後、リクルートに転籍。95年退社。97年ネクストを設立し、不動産・住宅情報サイト「HOME'S」のサービス開始。2006年、東証マザーズ上場。2010年、東証1部に市場変更。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

普通の人が上場企業をつくるための超実践講座

エースを異動させれば、次が育つ

2016年4月21日(木)

 会社員には人事異動はつきもの。意に沿わない突然の異動もやむなし――。そんな常識を否定しようとする経営者がいる。本連載の著者にして東証一部上場の企業を率いる、ネクストの井上高志社長だ。人事異動の基本ルールは「本人の希望通り」。それでも組織が破綻しないのはなぜか。破綻させないために打つ策とは。人事異動に毎年、膨大な手間をかける真意を明かす。

 エース級の優秀な部下が、突然の人事異動や転職で抜けて悲鳴を上げる――。上司となれば、そんな事態に直面することもあるでしょう。

 けれど、私自身の経験から断言します。大丈夫。まったく問題ありません。
 むしろ、ほかの部下たちが大きく成長するチャンスです。歓迎してもいい。

 問題なのは、意に沿わない異動を部下に強いること。あるいは、優秀で上司が手放せないからといって、部下を同じ部署に塩漬けにして、本人が本当にしたい仕事をできない状態にしていることです。

 一方で、会社員に異動はつきもの。予想もしないタイミングで、希望していない職場に移ることがあっても仕方ない――。そうあきらめている人が多いのではないでしょうか。

 けれど、私たちネクストでは、そういうことは基本的にありません。極力なくせるように仕組みを整え、その運用に手を尽くしてきました。

 人事異動は本人の希望優先。それが原則です。

 ベースになるのは半年に1回、社員全員が提出する「キャリアデザインシート」。自分の将来のキャリアビジョンと、それに向けて3年後、5年後に目指す姿を書いて、直属の上司と面談します。
 同時に、半年後に今の部署にいたいか、別の部署に異動したいかも確認します。

 「今の仕事を極めたい。しばらく異動はさせないでほしい」
 「別の職種にキャリアチェンジしたい」

 社員の要望は様々ですが、それらの希望がかなうように全力を尽くして人事異動をアレンジするのが、ネクストの人事部の任務であり、役員と上司の責務でもあります。

予想外の異動希望に慌てる

 異動を希望する部署が明確な社員には、直属の上司と定例の面談をした後、異動希望先の部署の上司と「キャリア選択面談」をします。
 異動を希望する理由が曖昧なら、上司たちがゴーサインを出しません。しかし、面談の結果、「この人のキャリア形成にプラスになる」となれば、交渉成立。異動は実現します。

 もちろん、個別の事情は勘案します。あと少しで完成するシステム開発の主力メンバーに突然抜けられれば、多くの関係者が困りますし、現実逃避のような形で「とにかく環境を変えたい」と、社内でジョブ・ホッピングを繰り返そうとする社員に対しては、「ちょっと待て」と話すこともあります。

 ただ、職場や会社の都合だけで、社員個人のキャリアを決めることはしない。人事異動は、本人の希望を優先するのが基本ルールです。

 「そんな調子で異動させていたら、組織はメチャクチャになってしまわないか」

 そう思う人もいるかもしれません。

 確かに、2009年にこの仕組みを導入した当初は、私も思わず頭を抱えるような案件がたくさん出てきました。「まさか彼女が異動希望を出すとは……」「彼が抜けた後、あの部署をどうやってフォローしたらいいだろうか」と。

「本人の希望通りの異動」をはじめとする独自の人事制度を二人三脚でつくってきた井上社長(右)と執行役員の羽田幸広人事本部長(左)

 例えば、大手顧客からの信頼があつい営業社員が「広告宣伝に移りたい」と言い出したり、システムの要になるエンジニアが「事業企画にチャレンジしたい」と訴えたり。上司は慌てます。どんな部署であれ、エース級が抜ければ打撃は大きい。今いる職場の人間からすれば、「おいおい、ちょっと待ってくれよ」というのが本音です。

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