逆境では企業や個人の真価が問われる

 「疾風に勁草を知る」という故事が好きです。「勁草」は風に強い草のことで、試練や逆境に直面して、初めて意志や節操の固さが分かるという意味です。宋書では「巌霜貞木」と続き、「真の部下かどうかは苦境が来ないと分からない」という帝王学につながります。
 逆境では企業や個人の真価が問われます。日本企業は本当に体質改善が進み、強くなったのか。単に、円安や欧米、新興国の好況の恩恵を受けていただけなのか。今、突入しようとする世界同時不況の中で、その答えが出ます。
 金科玉条のように「国際標準」とされてきた米国型経営が信奉に耐え得るかどうかの検証も始まり、世界経済危機を克服し、その後の繁栄をつかむ新しい「ニッポン式経営」を構築する局面に入ります。特集と併せ、特別企画「恐慌突破」では、新たな「知」の創造に、そのヒントを探ります。
 本誌は市販の臨時増刊「1冊丸わかり 金融危機」も発行しました。未曾有の危機から脱却する戦略作りの一助になれば幸いです。

(編集長 佐藤 吉哉)

■特集

 特集の取材で、米大統領選の投票を間近に控えた10 月下旬に、新大統領となるバラク・オバマ上院議員の出身地であるイリノイ州を訪ねました。
 取材とは直接関係なくても、やはり関心はオバマ氏。出会った人々から、あれこれ聞いていると、「オバマが当選したら、たとえ政治が何ら変わらなかったとしても、海外から米国を見る目が変わる効果は大きい」という率直な期待も聞かれました。要するに、米国は世界から孤立しているのではないかと心配なのです。そもそも米国が海外の目を気にしているというのは、日本ではあまり想像しなかったこと。いささか驚きもありました。
 昨年、日本の株式市場が海外に先駆けて下落を始めた際、一部の市場関係者や評論家は、その理由を「外国人投資家が日本の改革に悲観的だから」と主張しました。日本は海外から異端視されているというわけです。しかし今そんな主張をする人は、ほとんどいません。米国政治の変化を促した金融危機が、あらゆる面で発想の転換を迫っているのは確かです。

(大豆生田 崇志)

 2008年11月17日号より

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