言葉では言い表せない違和感

 1990年代の半ばに3年間の米国駐在を経験し、日本での取材に復帰した際に、言葉では言い表せない違和感を覚えるようになりました。しばらくして原因が分かってきたのですが、どの会社を訪れても取材に応じてくださる幹部クラスの社員が日本人の男性に限られている。時間をかけて人を育てる日本の文化と、人材を選別して使う米国の文化の違いを考慮したとしても、日本企業はもう少し多様な人材を活用した方が強くなるのではないか。
 早い話、もし自分自身が日本以外の国に生まれ、一旗揚げようという野望を抱いたと仮定したのなら、日本企業には入社しないのではなかろうか。
 この10年で日本企業も随分様変わりしてきたのは確かでしょう。それでも、かつての問題意識はのど元に刺さった小骨のように解消しないまま残っています。国内の雇用を守り、世界の優秀な人材を活用していく。ある意味での「二律背反」を実現できる企業が1社でも多く現れることを願っています。

(編集長 寺山 正一)

■特集

 「重要だが、緊急なテーマではない」。企業の人事担当者の多くが人材の育成について頭を悩ませています。国際競争に打ち勝つために社内人材の育成は急務。最重要課題である点に異論を挟む人はほとんどいません。その一方で、足元の業績が揺らぐと、人材育成への投資に対して冷ややかな反応を示す経営陣は少なくないようです。「研修に割くカネがあったら派遣社員を救えという声が聞こえてきそうで…」とある大手企業の人事担当者はこぼします。
 それでも、組織を強くしようとする企業は人材に相応の投資をしています。2009年は経済がさらに混迷の度を深めることが予想されますが、長期的視点でのヒトの育成は不可欠です。そして、それを決断するのは経営トップの意識次第。5年、10年先には、その差が結果となって表れてくるはずです。

(蛯谷 敏)

■企業

 根が単純なせいか、取材で感激した会社の商品が無性に欲しくなります。開発やマーケティングに関わった方々の熱い思いに触れると、その商品を応援したくなるからです。
 「購入こそが最大の承認なのだ」とうそぶいてはみても、しょせんは買う理由を探しているだけなのかもしれません。この癖が抜けきれぬまま自動車や不動産担当になったら、身を滅ぼすことになりそうです。
 今号のセイコーエプソンの取材でも感激する場面が多々ありました。当然ながらわき上がる物欲を前に、悩ましいのは1年前に買い替えたばかりのプリンターです。我が家の財務大臣をどう説得するか。歳入不足が叫ばれるご時世だけに、「○×特別枠」などとい
う“奇策”を毎年ひねり出す官僚の知恵を拝借したいものです。

(坂田 亮太郎)

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