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TPPが中小企業を救う

第6回 戸堂康之・東京大学新領域創成科学研究科教授

  • 市村 孝二巳

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2011年11月14日(月)

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 貿易立国と思い込んでいた日本はいつの間にかグローバル化の流れから取り残されていた…。海外の知恵や技術も活用した技術革新によって経済成長を取り戻すには、生産性上昇を促す輸出や海外直接投資がカギになる。こうした企業活動の支援策としてTPP参加が必要不可欠と主張するのが戸堂康之・東京大学教授だ。

 戸堂教授は、日本国内に眠っている潜在力にあふれた中小企業群を「臥龍企業」と名付け、彼らをTPPで世界に解き放つことにより、日本経済は震災復興を超えて再び立ち上がる、と語る。

戸堂 康之(とどう・やすゆき)氏
1991年東京大学教養学部卒、南イリノイ大学経済学部助教授、東京都立大学経済学部助教授、青山学院大学国際政治経済学部助教授などを経て、東京大学新領域創成科学研究科へ。准教授を経て2010年から現職。経済産業研究所ファカルティフェロー、JICA研究所客員研究員を兼務。2000年米スタンフォード大学経済学部博士課程修了(Ph.D取得)。専門は開発経済学、国際経済学、応用ミクロ計量経済学。主な著書は『途上国化する日本』、『日本経済の底力』。
(写真:清水盟貴)

 日本はTPP(環太平洋経済連携協定)に参加すべきなのか。もっと大きな話として、日本は開国するべきか。さらに一番大きな話は、20年後に日本はどうあるべきか。こうしたところを中心に考えなければならない。東日本大震災が起き、そこから復興するだけでは、日本経済はどんどん凋落していくばかりだ。それが20年後の日本をどうするかを考える上で非常に大事だと思う。

 グラフ1は、米国を100とした日本、シンガポール、台湾の1人当たりの実質GDP(国内総生産、台湾はGRP=域内総生産)だ。日本は戦後ずっと上昇していたが、バブルの頃に米国の90%に到達したのを境に、その後は20年間どんどん下がり続け、現在は米国の7割の実質所得水準しかない。復興してトレンドに戻るだけでは、日本はどんどん衰退していくことは明らかだ。これを何とかしなくてはならない。そのための枠組みとしてTPP を考えることが大切だと考えている。

 そのためにどうすればいいか。そのヒントは歴史にある。日本は制度を大転換することによって飛躍的に成長してきた経験がいくつかある。

 1つは戦後の日本。グラフ2は日本の1人当たり実質GDPを1870年から現在まで書いた図だ。この図には対数目盛を使用しているので、グラフの傾きが成長率を表すことになる。1870年から戦前までは傾きが等しく、一定の経済成長率であったことがはっきりする。いったん戦後に所得水準が非常に下がったが、そこからものすごい成長をしている。大事なのは戦前のトレンドをはるかに凌駕する成長が達成されたという点である。

 復興を超えて飛躍的な成長が達成されたという日本の戦後の経験だ。さらに幕末の開国も、幕末以前のデータはあまりないのでざっくりとした分析にはなるが、グラフ3では、1860年ぐらいを境に、やはり成長率がぐっと伸びていることがわかる。数字に直すと、幕末の開国前の1人当たり実質GDPの成長率は0.2%ぐらいで、そこから一気に1.9%まで1.7ポイントぐらい、ぐっと上昇している。

 従って現代の日本も制度を大改革することによって、復興を超えた成長を成し遂げることが可能である。その1つの取っ掛かりがグローバル化であり国際化であると私は考える。

開かれた技術革新が経済成長の源泉

 なぜかというと、もともと経済成長の源泉は技術進歩にある。ここで言う「技術」とはいわゆる工学的な技術だけでなく、経営的な技術や生産工程などの効率性を追求したこと、例えば「カイゼン」によって生産効率が上がるということ、そういうものを技術革新と捉える。このような技術進歩が経済成長の究極の源泉であることが経済成長論の研究から分かってきている。

 では、どうすれば技術進歩が達成できるか。1つは国内の技術革新。もちろんこれには研究開発活動という明示的な技術革新活動だけではなく、地道な改善活動といったものも含まれる。

 しかし同時に大事なのが海外からの知識や技術の流入だ。これは国内の技術革新をも刺激する。これを抜きにしては国内の経済成長は考えられない。簡単に言えば「三人寄れば文殊の知恵」。ひとりだけ、一国だけで考えるのでは知恵に限りがある。いろいろな国とつながって考えることでいろいろな知恵が生まれる。1+1+1は3ではなくて、10にも20にもなる。基本的には世界とつながって、世界の知恵を取り込んでいくことが長期的な成長のカギになるということがはっきりと言える。

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