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止められない人民元相場の上昇

広がる元通貨圏、基軸通貨になるには数十年か

  • トーマス・プーン

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2011年11月21日(月)

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 国債の格下げに揺れる米国、政府債務の不履行を未だ恐れる欧州、いつ終わるとも知れないデフレと戦う日本。このような状況下で、安全な投資先はどこへ消えたのかと投資家が思い悩むのも無理はない。第2次世界大戦後、世界の基軸通貨として君臨してきた米ドルは今や力を失ってしまったように見え、米国の財政破綻を予言する声も盛んとなっている。

 このように人心を惑わす予想を信じるか否かは別として、世界における大規模なパワー・シフトによって既存の経済秩序が変化していること、そして中国がその変化の中心に位置していることは明白だ。中国はすでにドイツを抜いて世界最大の輸出国となっているだけでなく、主要20カ国・地域(G20)首脳会合など世界的な政策協議への関与を強めており、早ければ今後20年以内に世界最大の経済大国となるのは確実と見られる。人民元が米ドルと並ぶ基軸通貨となる将来を予言すべき時があるとすれば、それはまさに今だろう。

 中国が人民元を完全な兌換性を持つ国際通貨にしようとする理由は多数存在する。例えば貿易決済の費用や借入れコストを圧縮できる、世界の金融システムに対する中国の影響力を、国家の政治的、経済的地位の向上に見合ったものにできる、といった可能性だ。しかしだからと言って、人民元が一夜にして国際通貨になるべきである、或いは国際通貨になる実力があるということにはならない。

 HSBCでは、人民元の国際化が以下の3段階を踏んで実現するものと見ている。まずは貿易決済通貨、次に投資通貨、最後に流動性と安定性の高さゆえに選好される基軸通貨、この3段階である。

2015年までに2兆ドルの貿易決済が人民元に

 中国本土の一部の都市と、香港、マカオ、東南アジア諸国連合(ASEAN)間の貿易決済に人民元を試験的に使用するプログラムが2009年に開始されて以来、人民元の国際化がその第1段階に到達したことに疑問の余地はない。HSBCでは、2013~15年の間には中国と新興諸国との貿易決済の半分以上が人民元で行われるものと予想している。これは2兆米ドルに相当する規模であり、人民元は世界貿易において第3位内の決済通貨となる。

 現在、オフショアでの人民元の使用は香港とマカオが中心だが、シンガポールでも急速な拡大を見せており、これは人民元の国際化がすでに第2段階に達しつつあるという主張を裏付けるものである。人民元オフショア市場は1年前には存在すらしていなかったが、現在では1日の取引額が20億米ドルに達すると試算されている。これはインドネシア、マレーシア、フィリピンの現地通貨市場の取引額を上回る規模だ。

 香港の人民元建て債券「点心債」市場も同様に活況を呈している。HSBCの予想では、今年の点心債の発行高は、2011年末には2,300億人民元に達するものと予想される。2011年に入ってから、フォンテラ(ニュージーランド、乳業)、ユニリーバ(英・蘭、家庭用品)、三井住友フィナンシャルグループ(日本、金融)、フォルクスワーゲン(独、自動車)など多様な企業が点心債の発行を決めたほか、中国財政部は8月に複数の年限の人民元建て国債を発行したが、発行総額は200億人民元に上り、将来的に中国国債の指標利回りの形成につながるものと見られる。

 株式市場もこの流れに乗り遅れてはいない。今年4月には中国の不動産投資信託(REIT)である「匯賢産業信託 (Hui Xian REIT)」が香港市場に上場し、これによりオフショアの人民元建て新規株式公開(IPO)市場が始動した。

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