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電力の財界支配と九電暴走

2011年11月28日(月)

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 「物言わぬ財界では存在価値はない」と題した日本経済新聞社説が掲載されたのは1994年8月。冷戦終結から5年、「自由主義を守る」という大義を失った財界が緊張感をなくし、「日本経済がかかえる構造問題や将来の見取り図について財界トップからなんの提案も出て来ない」と経済団体首脳らの姿勢を痛烈に批判した。単に口数が多い少ないの問題ではない。当時財界に中身がなく言い放しの議論があまりに目立つことへの警鐘だった。

 17年後の現在、存在価値を問われていた「財界」はいまだ健在。ただ、経済団体のリーダーたちの発言は頻繁に報じられているものの、相変わらず目立つのは政策要望など目の前の利益に結びつくものばかり。半面、未曾有の原発事故を起こした東京電力の経営責任などへの言及はなく、「やらせメール」問題で暴走する九州電力首脳を諌める様子もない。“我田引水”のロビー活動が目的ならば業界団体で十分のはず。都合の悪い世論に背を向けたままでは「財界」と国民の距離は乖離するばかりだ。

 米倉弘昌・経団連会長はこのところ機嫌がよい。念願だった環太平洋経済連携協定(TPP)参加の道が開けた直後の11月15日、自民党幹部との懇談後に記者団に囲まれた米倉会長は「カナダ、メキシコに先駆けて日本が(TPPに)参加表明できたのは良かった」「(協議の過程で)ちゃんとした情報が発信されるにつれ、(反対論は)なくなるのではないか」などと満面の笑みを浮かべて語った。

 3月11日の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故発生後、渋面に加えて時折怒気を含んだ表情が多かった「財界総理」だが、9月2日に野田佳彦首相が就任してから、周辺に漂うムードは180度変わった。民主党の新代表に野田氏が選出された8月29日にコメントを求められた米倉会長は「政策に通じた、非常に安定した行動力のあるリーダー。民主党の議員は非常に良い結論を引き出した」と絶賛。勢い余ってか、前任者と比べて「首から上の質が違う」とまで言い切った。

 野党の陣笠議員だった当時から「自民党と考え方がほとんど同じ」と見て関係を築いてきた経団連と米倉会長にとって、野田政権の誕生は歓迎すべきことだったのだろうが、それにしても「首から上の質」で比べられた前首相の菅直人氏こそ好い面の皮である。退陣後とはいえ、一国の総理を務めた人物をここまでコケにした財界人は筆者の記憶にない。

 米倉会長の物言いは良くも悪くも直截。聞く方にとっては分かりやすいが、単刀直入であるがゆえに言葉足らずで誤解も生みやすい。辞意表明後も退陣時期をなかなか明確にしなかった菅氏に対して「国民にちゃんと言わないと教育上具合が悪い」(6月20日、定例記者会見で)と非難したほか、菅氏が「脱原発」を独断で進めていることについて「日本に政治はないのか」(7月5日、ベルリンで記者団に)と苛立ちをあらわにしたこともあった。

 菅政権末期(7月末)の内閣支持率は19%(日本経済新聞社世論調査)。8割の支持を失い、政府を事実上機能不全の状況に陥れても権力の座に固執した首相へのフラストレーションは国民も同じように感じていたに違いないが、米倉会長の表現が論理よりも感情を前面に出すために「こどものケンカのようにしか聞こえず、首相退陣を唱えても説得力に欠ける」(大手ゼネコン幹部)などと産業界で評判は芳しくなかった。

コメント15件コメント/レビュー

財界総理と九電会長・社長へ私たちの代弁を歓迎します。(2011/11/30)

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財界総理と九電会長・社長へ私たちの代弁を歓迎します。(2011/11/30)

電力の財界支配というが、じゃあ地方で他にやれる企業があるのか。原子力をやってこなかったら、数年前の原油価格高騰で、日本はもっと痛い目に会っていたはずだ。今回の事故は確かに失敗だが、M9なんていうとんでもない規模の地震がそもそも引き金になっている。事故の免責は、世論の影響が大きかったのは確かだと思うが、世論のために法律の適用を歪めるのは本来おかしな話。当事者が世論に配慮することはあるにせよ、著者のような安全なところにいる人間までそんなことを主張したら、法治国家であることを否定することになってしまう。時流に乗っただけの共感できない記事でした。(2011/11/29)

福島原発事故以来、私個人として常日頃、化石の如く理解しがたい存在の御仁とその団体は、本当に日本の今後を憂いているのか、多大な犠牲に報いる為にも明確なエネルギー政策の大転換が絶対不可欠であり、それこそが今後の発展の糧になろうものを、と憤まんやり方ない思いでしたが、筆者様はより具体的に代弁して頂き、大変意義深く思いました。ただ「会員企業」であろう某重電(原発)メーカーは、原発を海外に輸出するそうで、日本に真の仁義はあるのかと悲しくなりました。対する国内の太陽電池メーカー等は、原発と同列(優先?)の現状にどれ程の危機感があるのでしょうか?オールジャパンでBSアンテナ程度の面積で一日の電力を賄う超高効率変換を実現したり、インバーターを蓄電池や燃料電池に対応させ、仕様をトップランナー方式で統一、大幅なコストダウンを図る等です。燃料電池メーカーにせよ、製品が世に出たばかりとはいえ、大多数の方には雲の上の幻の商品であり、要は販売・普及を(失礼御免)地域独占、既得権益優先のガス会社(石油会社も同程度か)が担うことに一因があると思います。発送電分離以前に自ら発電して電力や熱を賄う実感こそ重要です。政府が多大な犠牲と破壊をもたらす原発の全廃宣言を行い、福島原発事故の真相解明と原子力ムラの輩を廃止処理技術に担わせる為にも、善意ある全ての皆様方の声が何よりも大切です。(2011/11/29)

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