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中国に「山寨社会」到来!

ビジネス書の翻訳者が読む社会変化

  • 永井 麻生子

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2011年12月8日(木)

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 「最近、ニセモノに関する中国の本を翻訳して日本で出版しました」

 先日、初対面の相手に自己紹介する際に、そう言ったところ、意外な反応が返ってきた。

 「中国に、そんな本があったのですか?」
 「出版されているということは、ニセモノが多いことをみんなが認めているってことですよね。中国の人は、知られないようにこっそりやっているのかと思っていました」

 その言葉を聞いて、中国の書籍事情がほとんど日本では知られていないこと、そして、中国人のニセモノ観に関してもほとんど情報が入って来ていないことを改めて感じた。

中国でも日本と同様に出版不況

 日本で中国の書籍が話題に上ることはほとんどない。あったとしても、「村上春樹が人気らしい」とか、「中国で本を出すとすぐに海賊版が出るらしい」といったもので、日本からの情報が中国でどのように扱われているかという点から見た情報でしかない。なかには「中国=言論統制」というイメージを持っており、中国の書籍というと政府のプロパガンダ物ばかりだと考えている人さえいる。

 中国でも日本と同様に出版不況だという。だが、中国のビジネス書は、質・量ともに成長しており、評論なども決して政府の見解に沿ったものばかりではない。政治や社会の問題点に対し、鋭く政府に対して批判的な意見を述べている書も出版されており、ベストセラーになっている。

 ただ、その一方で、体系だった理論や分析という点ではまだまだ日本のビジネス書には及ばない。全体の傾向として、事実の羅列が多い、著者と取材対象(たとえば成功した経済人などをテーマにした書籍が多く、またその類の書が売れている)との距離感が悪いなどの欠点はいまだ残っている。中国人のある知人は、「事実の羅列が多いのは中国人の好みからくる構成だから、今後もたぶん変わらない」と言う。

 アメリカで話題になった評論などが日本と同様にヒットしていることを考えても、好みだけの問題ではなく、今後、ビジネス書市場の成熟に伴い、多様かつ完成度の高いビジネス書が出てくるであろうことは間違いない。

上意下達式の「ピラミッド型産業構造」

 その中で、冒頭に挙げた拙訳『中国モノマネ工場(原題『山寨革命』中国・中信出版社)』は中国社会の新しいあり方を提言する、大変よく考えられた評論である。第1章では「山寨」と呼ばれるコピー商品製作業界の内情やその発展の歴史について述べているが、第2章、3章では、コピー商品が隆盛を誇る現状を分析し、そこから発展して今後の社会のあるべき姿を探っている。

 「山寨(さんさい)」というのは、現在ではニセモノ・コピー商品を指す言葉として使われているが、本来は「山中にある砦」という意味だった。コピー商品(特に携帯電話などの電子機器や家電)を作る小さな町の部品工場が、集まって建っている様がまるで昔の賊がこもる「山寨」のようだったことから、この種の工場を指すようになった。現在では「山寨明星」(モノマネのスター)などのように非正規品、ニセモノ全般を指すようになった。

 山寨の家電は、部品工場同士が直接連携して、今までになかった組み合わせで「新しい製品」を作る。それぞれの小さな点が自由に、そして対等に結びつき合ってそれまでにない製品を作るのだ。それに対し、いわゆる「ブランド家電」はブランド主たるメーカーがどこにどの部品を使うかをデザインし指揮する、上意下達式の「ピラミッド型産業構造」で作られている。

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