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就職難の裏に潜む「親子問題」

傷跡が痛々しい女子A、自己肯定のできない男子B

  • 沢田 健太

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2011年12月13日(火)

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 学生に伝えたいのは、「どんな場所でもやっていける自分になる」という強さだ。そんな思いでキャリア形成支援の仕事に携わってきた一人の大学職員が、この秋、『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』という新書を著し、さまざまな方面から注目されている。

 当コラムは、その著者が本の中では語り尽くせなかったトピックを取り上げていく書下ろしである。前回は「就職留年」の詳細をお伝えしたが、今回は角度を大きく変えて「就活生の親子問題」を考えてみる。

 大学生の子を持つ親に向けた分かりやすい就活ガイダンスでは「ない」ところがミソだ。それどころか、ここで紹介するような事例は学内でタブー視されているという。大学の多様化と共に浮上してきた社会問題を直視する。

 今回は、キャリア形成と「親」について考えていきます。

 子供の就活に親はどう協力すべきか。そういうコンセプトの保護者向け書籍の刊行が、今年から目立っています。各大学のキャリアセンターでも公式HPの保護者向けサイトや冊子を使って、就活生への関わり方を積極的にアドバイスするところが増加中です。拙著においても、「もし私が就職活動生の親であったら――」と具体的な私案を述べました。

 私の私案はいささか風変わりなものが多いのですけれども、大学キャリアセンターが保護者にアドバイスしている内容はだいたいどこも同じです。ざっくり要約してみると、「頭ごなしの否定や価値観の押し付け、他者との比較は慎み、丁寧に話を受け止めましょう」といった具合です。親御さんだからできること/気をつけたいこと、というよりも、就職活動生に対するカウンセラーさんの心得を伝えているような印象があります。

 昨今の就職活動生はそれだけナイーブになっているから、とも言えるでしょう。ただ、これで我が子への関わり方に不安を持つ親御さんの役に立つかどうか。関係性がさまざまな親子の間に説得力のあるアドバイスを投げ込むことは、なかなかどうして難しいものです。このテーマは地域性や階層などの異なる大学ごとに、対策を練ったほうがいいと思います。

 それはそうと――。私が今回取り上げたい「親」の話は、以上のようなテーマからはちょっと離れます。もっと深刻で、看過できない問題です。

明らかに家庭問題を抱えている就活生

 硬くなりますが、「親子関係や家庭環境に困難を抱える学生の就職活動に関する覚書」と題しても構わないでしょう。就職活動生の個別相談を行なっていると、親や家庭に「問題がある」と考えざるをえないケースが少なからずあります。

 しかし、現場の個人がそうと分かっていても、教育機関として、この領域にはなかなか手を出すことが出来ません。それどころか、親や家庭の問題点を指摘することさえタブー視されています。キャリア形成支援をする者にとって、とても歯がゆい問題なのです。

 ここで私が直接関わったケースを紹介します。「キャリア支援」という視点から、問題提起をさせてください。(※各ケースの記述は、お伝えしたい主旨を損なわない範囲で若干アレンジしています)

◆ケース1 何度も結婚と離婚を繰り返す親

 ある日、キャリアセンターの個別相談に訪れた学生は、5人兄弟の長女でした。就職面接で家族のことを執拗に聞かれた、と言うのです。詳細を尋ねてみたら、面接官の「これまでに苦労したことは?」という質問に、「子守り」を説明したことが起点になったようでした。

 この学生の母親は何度も結婚と離婚を繰り返しており、兄弟には複数の父親がいました。母親はずっと夜の仕事で、育児や家事の一切を小学校5年生から長女に任せていました。彼女は、母親のことが「好きだから」、幼い4人の世話をしてきたそうです。

 度重なるストレスから、高校時代には重度の拒食症になりました。相談当時も長身なのに体重が40キロありませんでした。自虐的な行為は続いていたようです。体中にしているピアスやリストカット跡が私の目にも痛く映りました。

コメント23件コメント/レビュー

ここで扱われた2つのケースは社会問題であり、大学の支援室で取り組むには大きすぎる。他のコメントにもある通り、社会でやっていけるかは結局、本人が本気で取り組むかどうかだと思う。少なくとも、とっかかりとして、最初の就職の場を与えられれば、大学の支援室としては十分なのではないだろうか。ただ、問題児として機械的に切り捨てるのではなく、「本来もっとも支援が必要な人」として考えてくれた人がいることは嬉しいことだと思う。(2012/01/10)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ここで扱われた2つのケースは社会問題であり、大学の支援室で取り組むには大きすぎる。他のコメントにもある通り、社会でやっていけるかは結局、本人が本気で取り組むかどうかだと思う。少なくとも、とっかかりとして、最初の就職の場を与えられれば、大学の支援室としては十分なのではないだろうか。ただ、問題児として機械的に切り捨てるのではなく、「本来もっとも支援が必要な人」として考えてくれた人がいることは嬉しいことだと思う。(2012/01/10)

著者は平和な家庭で過ごしてきたんだろうなー。的外れもいい所です。私も偏差値60弱の高校で3年間学年トップでしたが、奨学金A判定で通過しても本文中のような理由で大学には行けませんでした。それでも自費で専門に行って今は一部上場企業に10年ちょっと勤めています。 正直、私から言わせれば大学に苦も無く行けるだけましでは?と思います。 大体、様々なバイトをしていると、不幸合戦に意味はない事に気づきすし、自分で気づけなければ他人が何を言おうと聞く耳などありません。(2011/12/19)

問題が無さそうに見えても、「親」との関係で精神的に問題を抱えている人は多いだろうと思います。むしろ、何も問題が無いのは、ごく限られた人なのでは? ただ、カウンセリングなり社会へ出て多くの人たちと関わることなどで、自分の抱えている問題に気づき、それを解決できるのは、自分自身の意志の力だけです。親のせいにしても、何も変わらないですし。それを解決するための基礎知識(心理学的な)を、高校や大学で教え、内省することの大切さを知らせてやる必要があるのではないでしょうか。最近は、国語の教科書でも、自分自身を見つめさせるような内容の文章が、あまりないような気がします。(2011/12/16)

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