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石油流出も止まらない 「死の海」化が進行する渤海湾

中国の中途半端な汚染対策がもたらすツケ

2011年10月4日(火)

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 米石油大手のコノコフィリップと中国海洋石油が共同で採掘を進めていた渤海湾「蓬莱19-3号」油田。この中国最大級の海上油田が6月に事故を起こしてから、依然、石油流出は止まっていない。渤海湾では海洋汚染事故が相次ぎ、流入する河川の水量激減など水質悪化が深刻化している。一方で、沿海では日本にも進出を要請している曹妃甸(そうひでん)開発など大規模工業開発が進んでいる。半閉鎖性海域である渤海湾の環境汚染に歯止めがかからない。

初動を遅らせた中国政府の認識不足

 9月19日に国家海洋局が公表した観測結果によると、コノコフィリップと中国海洋石油が開発を手掛けている「蓬莱19-3号」の石油流出は未だに止まっていない。

 報道によると、国家海洋局北海分局はコノコフィリップから流出事故の通報を受けたのは6月4日。ところが、国家海洋局が北京で記者会見を開いて事故を公表したのは7月5日である。事故把握から1カ月も経過してからだ。こうした状況から、国家海洋局の出先機関が事故を軽く見ていた形跡が見られる。

 報告を受けた国家海洋局北海分局は石油流出事故の重大性への認識が乏しく、応急措置のための初期動作に遅れが生じたという報道が中国でもあった。流出面積の拡大に驚いた国家海洋局の責任者が、米コノコフィリップと中国海洋石油の幹部を呼んで事情を聴取したのは事故報告から2週間が経過してからであった。

 事態を重く受け止めた温家宝総理など政府指導者は9月7日の国務院常務会議で、事故の状況と渤海湾の環境保護について報告を聴取するとともに対応を検討した。

 9月上旬の時点で、石油流出による海洋汚染面積は5500km2におよび、渤海湾の生態環境と漁業に著しい悪影響を与えたと、会議後、政府は公表した。事故に対する緊急対策だけでなく、渤海湾の環境保護を同時に議論したことが常務会議の重要なポイントである。

 渤海湾の環境状況については、後述する「渤海湾環境保護総体計画」を制定・実施しているが、今も極めて厳しい状況にあることを表明した。沿海地域に重化学工業が集中しすぎている。政府は石油化学関連など新規プロジェクトの厳格な抑制や、環境に影響を与えかねない埋め立ての禁止などを方針として改めて打ち出した。

 しなしながら地元の漁民などからすれば、今回の事故は特別の事件でも何でもない。石油流出事故に限ってみても、渤海湾では、1979年の勝利油田、86年の渤海湾石油、87年の秦皇島と大きな原油流出事故が続いた。その後も90年にはパナマ籍船とリビア船との衝突事故、98年の勝利油田油井建築倒壊による6カ月間にわたる原油流出事故などが続く。そして、2010年の大連石油パイプライン爆発による石油流出と、重大な汚染事故をたびたび経験している。

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「石油流出も止まらない 「死の海」化が進行する渤海湾」の著者

青山 周

青山 周(あおやま・めぐり)

経団連中国事務所長

経団連事務局で地球環境・エネルギーグループ長、アジアグループ長などを歴任。2012年4月に中国事務所新設により初代所長に就任。中国上海の復旦大学に留学経験があり、中国と環境分野に強い。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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