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チリ落盤事故、1人だけPTSDを逃れた男の秘密

[最終回] 感謝、ユーモア、信念、目的意識が幸福感につながる

  • 宇野 カオリ

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2011年12月27日(火)

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 2010年夏に南米チリで起きた鉱山落盤事故は私たちの記憶に新しい。33人の作業員が69日もの間、地下深くに閉じ込められたが、1人の死者をも出すことなく奇跡の生還を果たした。当時の生還劇で、メディアを通して一躍世界的な英雄となった彼らだが、事故を境にして、一人ひとりの人生は大きく明暗を分けた。

 33人のその後の人生に一体何が起きたのか。
 鉱山の地下で、33人全員が知恵を出し合い、1つのチームとなって共に生存に尽力した様子は、リーダーシップやリスクマネジメントなどの視点から既に分析がなされている。だが、彼らが救出された後の人生――地下に閉じ込められていた日数よりももっと長い人生――についてはどうか。幸福感という観点から見ると、先の大震災後の私たちの社会にとっても多くの示唆が得られる。

 今回は、英雄であった彼らのその後の明暗を伝えるジャーナリストらによるリポートから、1つのデータを取り上げてみたい。事故から1年以上が経過した今、33人中32人が医師らから心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されているという。

 事故の後、他の職に転じた者もいるが、かつてのように鉱山で働くことを希望した者も何人かいたという。「俺は炭坑作業員だ、強い男なんだ」と意気込んで鉱山へ向かったが、現場に到着するやいなや恐怖とめまいを感じて2分と持たずに逃げ出した者や、鉱山の入り口を見るだけで「私の幸せはあの鉱山の中に閉じ込められたままだ」と言って泣き出す者もいたという。作業員として復職した者も数名いるが、今もって失業中である者も約半数と少なくない。(注)

 ところが、33人中1人だけ、PTSDと診断されなかった。他の仲間たちがいまだに患う様々な心の問題から、見事に免れた者がいる。その人物とは牧師だ。

トラウマとは無縁だった人物が兼ね備えていたもの

 『幸福優位 7つの法則』で、著者のショーン・エイカー氏は、「平均信奉から脱する」として、統計的な平均値ではなく、「ポジティブ側の異常値」に注目する大切さを説く。
 あれほどの大きな事故がトラウマ体験となるのは当然のことで、32人の方がいわば「平均的」といえる。しかし、トラウマとは無縁だった1人にフォーカスしてみると、今までとは全く違った視界が開けてくる。

(注)『チリ33人 生存と救出、知られざる記録』(ジョナサン・フランクリン 著、共同通信社)に詳しい。

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