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アフリカ発、“ローテク”でもイノベーションは起こせる

ケニアで2桁成長を続けるサファリコム

2011年12月26日(月)

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 ケニアの首都ナイロビには、至る所にサファリコムの大型広告がある。

 「Niko na Safaricom(ニコ・ナ・サファリコム)」

 現地、スワヒリ語で「サファリコムと一緒に」という意味のメッセージが、ケニアの美しい風景と人々の写真とともに広告に掲載されている。

 サファリコムはケニア最大の携帯電話会社だ。市場シェアは8割を超え、2011年11月時点の加入者は1810万人。ケニアの人口は約4000万人なのでその半数近くが同社の携帯電話を利用して「サファリコムと一緒に」いることになる。

サファリコムを10年間牽引してきたマイケル・ジョセフ前CEO(最高経営責任者)。 日経ビジネスの独占インタビューに応じて、ケニアでビジネスを成功させる秘訣を明かす

 2000年7月から2010年11月まで10年間にわたって、同社を率いてきたマイケル・ジョセフ前CEO(最高経営責任者)は南アフリカ共和国出身のエンジニアだ。引退後も取締役会に名を連ね、ケニア経済界で大きな影響力を持っている。サファリコムに来る前は南米、スペイン、韓国、米国など世界各地で通信事業に携わってきた。

 ジョセフ氏は「CEO就任当時の2000年、サファリコムの利用者はわずか1万7000人。ほとんどゼロからのビジネスのスタートだった。今の成長は誰も想像し得なかった」と語る。サファリコムはケニア政府と英ボーダフォンが共同出資して設立した企業でジョセフ氏も外部から招聘されたが、就任当時の目標は「利用者をなんとか5万人に増やしたい」という程度だった。

 しかし、サファリコムの利用者は今や当時の1000倍以上になり、売上高は前年同期比で2桁増を続け2011年3月期には948億ケニアシリング(約1000億円)に達している。

 通話エリアも広がり、今ではナイロビ市内はもちろん、ゾウやライオンなど野生動物が生息する辺境のサバンナのど真ん中でもサファリコムの携帯電話が使える程だ。

 2007年には、携帯電話を使った電子マネーを導入して爆発的にヒットした。サファリコムが開発した電子マネーの仕組みはタンザニアや南アフリカ、インド、アフガニスタンでも使われている。

 一見、ハイテクとは無関係に思えるアフリカのケニアで、なぜサファリコムは急速に携帯電話ユーザーを増やし、革新的なサービスを展開するに至ったのか。

わずか5円、1分通話のためのプリペイドカード

 「貧しいケニアの人々にいかに携帯電話を使ってもらうか」

 CEOに就任して以来、ジョセフ氏のテーマはこの一点に集約されている。

 2000年当時、ケニアの1人あたりGDP(国内総生産)は400米ドル(約3万2000円)で日本の100分の1程度だ。1日1.25米ドル(約100円)以下で生活している貧困層はケニア全体の実に20%を占める。

 一方、携帯電話の通話料は今でも1分間約4円と決して安くはない。支払い方法も日本などの先進国とは異なり、ケニアを初めアフリカの発展途上国のほとんどはプリペイド(先払い)方式だ。利用者は携帯電話ショップでプリペイドカードを買い、そこに記された番号を携帯電話からサファリコムのセンターに送信して手持ちの利用料金を加える。

 ジョセフ氏が就任後、まず打ち出したのはプリペイドカードの小額販売だった。従来からの主流のカードは100円、500円、1000円の3種類。これに50円を加えた。50円では12分程度しか話せない。しかし、現金主義で手元の現金で日々の生活をまかなう傾向にあるケニア人には、まとめ買いの習慣がないと判断した。

 小額プリペイドカードの販売は功を奏してサファリコムは売上高を伸ばした。そして、さらに手軽さを強調するため、20円、10円、果ては5円のカードも売り出したのだ。

コメント1件コメント/レビュー

新結合を提唱したシュンペーターは、5つに分類された課題を遂行することが経済的リーダーシップと述べている。彼によれば、イノベーションとは大規模な経営や技術革新を行うことではなく、歴史に記録されない「デファット・ソーセージ」を作ることも含まれる。故に「ハイテク」とか、経営・技術規模等の追求のみがイノベーションではない。昨今彼の本来の思想が忘れ去られている傾向がある。「サファリコム」にこそ真のイノベーションがあり、マイケル・ジョセフ氏こそアントレプレナーであろう。我々も、今一度自分達の周囲を見直す必要があると思う。(2011/12/27)

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「アフリカ発、“ローテク”でもイノベーションは起こせる」の著者

宇賀神 宰司

宇賀神 宰司(うがじん・さいじ)

日経ビジネス記者

日経クリック、日経ベンチャー(現・トップリーダー編集などを経て、2007年1月から日経ビジネス編集記者。流通、中小ベンチャー、マネジメント、IT(情報技術)を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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新結合を提唱したシュンペーターは、5つに分類された課題を遂行することが経済的リーダーシップと述べている。彼によれば、イノベーションとは大規模な経営や技術革新を行うことではなく、歴史に記録されない「デファット・ソーセージ」を作ることも含まれる。故に「ハイテク」とか、経営・技術規模等の追求のみがイノベーションではない。昨今彼の本来の思想が忘れ去られている傾向がある。「サファリコム」にこそ真のイノベーションがあり、マイケル・ジョセフ氏こそアントレプレナーであろう。我々も、今一度自分達の周囲を見直す必要があると思う。(2011/12/27)

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