「ポストFUKUSHIMAの経営論」

浜岡原発停止が分けた2人のカリスマ

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2011年12月27日(火)

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 政府の地震調査委員会が30年以内に87%の確率でマグニチュード8程度の地震が発生すると予測する東海地域。東日本大震災が引き金になった東京電力福島第1原子力発電所(福島県双葉町、大熊町)の事故を受け、菅直人前首相はこの「30年内に87%」の予測を前提に5月6日、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の停止を要請、稼働中だった同原発4号機、5号機の停止が3日後に決まった。

 それから7カ月余り。中部電力のみならず、地元企業にとって原発事故の可能性を織り込んだ東海地震への対応が喫緊の経営課題になっている。その中でスタンスが対照的な有力企業2社が目につく。いずれもカリスマ経営者が率いるスズキと東海旅客鉄道(JR東海)である。

 12月16日、静岡県吉田町の町議会が「浜岡原発は再稼働せず、速やかに廃炉にすべきである」と全会一致で決議した。同町は大井川河口の西側に広がり、人口は約3万人。浜岡原発から20キロメートル圏内にあり、町内には富士フイルムのグラフィック材料研究所や音楽CD、DVDなどを製造するソニーDADCジャパンの本社工場などがある。田村典彦町長は決議について「(浜岡原発が)町民の生命・財産、企業の生産活動に不安を与えており、廃炉に向けて邁進してほしい」とコメントした。

 静岡県内では浜岡原発の「永久停止」「廃炉」を求める意見書や決議を採択する市町議会が相次いでいる。県内35市町議会のうち、年内に10市町の議会がこうした「廃炉」や「永久停止」の決議を可決する見通しだ。

 10市町の内訳は東伊豆町、伊豆市、伊豆の国市、南伊豆町、松崎町、長泉町、富士市、牧之原市、三島市、吉田町。このほか、吉田町議会が「廃炉」決議を行ったのと同じ16日、浜岡原発から30キロメートル圏内にある藤枝市議会が「市民の安全と安心が担保されない限り、施設の再稼働は認められない」と全会一致で決議を行っており、同じように「住民の理解を得られない限り再稼働を認めない」との意見書を、浜岡原発から10キロメートル圏内にある菊川市議会も9月29日に可決している。

 こうした市町議会の動きで最も注目を集めたのは9月26日に「浜岡原発の永久停止を求める決議」を賛成多数で可決した牧之原市議会である。決議後、西原茂樹市長も「市民の安全と安心のために『永久停止』は譲ることはできない」と同調した。

 牧之原市は浜岡原発の10キロメートル圏内で原子力防災対策重点地域(EPZ)内にあり、中部電力と安全協定を締結している。EPZの対象となっているのは牧之原市のほかに掛川市、菊川市、それに同原発が立地している御前崎市の4市。安全協定を結んでいる自治体の「永久停止」決議には法的拘束力はないものの、その意味は重く、浜岡原発の再稼働は事実上不可能になったといっても過言ではない。この牧之原市をはじめ、現在の静岡県内の市町に広がる“脱原発”の流れを作ったのは浜松市に本社を置くスズキの鈴木修会長兼社長である。

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このコラムについて

ポストFUKUSHIMAの経営論

 3.11の東日本大震災とそれに続く東京電力福島第1原子力発電所の事故は日本の経済のみならず、政治、社会など、人々が関わるあらゆる分野の風景を一変させた。
 「原発安全神話」は崩壊し、民主党政権は事態の収拾能力のなさを露呈。東北、首都圏では、合わせてざっと4000万人の住民が飛散した放射性物質に怯えながら暮らすことを余儀なくされている。海外に目を向ければ、震災当初は復興へのエールを送った諸外国は、欧州危機で世界経済の先行きに暗雲が漂うに従い、保護主義の色彩を増し、日本への圧力を強めている。
 増幅する一方の閉塞感を打破するために、日本企業は抜本的な思考法や価値観の変革を求められている。未来を見据えた新たな産業の潮流をマネジメントの視点から占い、論じていく。

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