「「燃やさない文明」のビジネス戦略」

太陽光発電 19円/kWhの衝撃

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2012年1月4日(水)

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この連載「『燃やさない文明』のビジネス戦略」は、日経BPの環境総合サイト「ECO JAPAN」の終了に伴い、日経ビジネスオンラインで継続して掲載することになりました。バックナンバーはこちらでお読みいただけます。

 「太陽光発電は高コスト」との認識は急速に過去のものとなりつつある。需要者目線に立った新しい太陽光発電ビジネスの台頭で設置コストが急激に下がっているからだ。

 この傾向が定着すれば補助金は不要になる。2012年7月には再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度(FIT)がスタートするが、将来的には買い取り価格の高値維持は必要なくなる。

驚きの安さ

 家庭用太陽光発電の工事費を含む設置コストは、2010年の実績で1kWあたり60万円以上だった。これを金利3%、20年償却の前提で発電コストに換算すると40円kWh/以上になる。家庭用電力料金の24円と比較すると現状は非常に高くつく。

 発電コストが高くなる一因は、これまで太陽光発電のビジネス形態がパネルメーカー主導の閉鎖的なシステムで、販売方法などが非効率であったことだ。コスト問題を乗り越えるには、需要側の利益を最大化する新しいビジネスモデルを構築する必要がある。

 この点で期待できるのが、メーカーから独立したシステムインテグレーター(SI)主導によるビジネスモデルである。これまでの商習慣にとらわれることなく、太陽光パネルも海外メーカー品を扱うなど世界から最適な機材を調達する。ユーザーへの販売方法も大幅に簡略化している。グローバルな調達戦略でこれまでの常識を打ち破る低コスト化の道筋が見えてきた。

 最近、フジワラ(千葉県船橋市)とエイタイジャパン(千葉県鎌ケ谷市)の共同による千葉県の販売事業者グループが29万円/kW(4kWタイプ)という家庭用太陽光システムを発売した。これは私が知る限りの最安値だ。発電コストに換算すると実に19円/kWhという驚異的な安さになる。

 太陽光発電はこれまで、電力会社の電気料金同等(グリッド・パリティ)の24円を目指してきたが、これより30%も安い発電コストをあっさりと実現してしまった。販売実績はまだ少ないが、今後急速な拡販を目指して体制を整備しているところだという。

ビジネスプロセス刷新による低価格化

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著者プロフィール

村沢 義久(むらさわ・よしひさ)

村沢 義久東京大学総長室アドバイザー。1974年東京大学大学院工学系研究科修了。1979年米スタンフォード大学経営大学院修了、MBA取得。米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(日本代表)を経て、1995〜2000年にゴールドマン・サックス証券(バイス・プレジデント)。その後、モニター・カンパニー日本代表、コラボ・テクノロジー取締役などを経て、2005年から東京大学サステイナビリティ学連携研究機構特任教授として、サステイナビリティ(持続可能性)研究グループに所属し、地球温暖化対策を担当した。2010年4月から現職。
主な著書は、“Handbook of Strategic Planning”(John Wiley & Sons, Inc. 1986年、共著)、「グローバル・スタンダード経営」(ダイヤモンド社、1997年)、「世界標準時代の成功法則52」(PHP研究所、1998年)、「株主価値経営で強い会社をつくる」(かんき出版、1999年)、「手にとるように地球温暖化がわかる本」(かんき出版、2008年)、「仕事力10倍アップのロジカルシンキング入門」(毎日新聞社、2008年)、「日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命」(文春新書、2009年)、「電気自動車 『燃やさない文明』への大転換」(ちくまプリマ―新書、2010年)



このコラムについて

「燃やさない文明」のビジネス戦略

 いま、大きな変革の節目を迎えようとしている。時代を突き動かしているのは、ひとつは言うまでもなく地球環境問題である。人口の増大や途上国の成長が必然だとしたら、いかに地球規模の安定を確保するかは世界共通の問題意識となった。そしてもう一つは、グローバル化する世界経済、情報が瞬時に駆け巡るフラット化した世界である。これは地球環境という世界共通の問題を巡って、世界が協調する基盤を広げるとともに、技術開発やルールづくりでは熾烈な競争を促す側面もある。

 筆者は「燃やさない文明」を提唱し、20世紀型の石油文明からの転換を訴える。このコラムではそのための歩みを企業や国、社会の変化やとるべき戦略として綴ってもらう。

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