「不動産投資の罠」

「サラリーマン大家よ、勘違いするな!」

第4回 こんな人は不動産投資をやってはいけない

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2012年2月1日(水)

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 第1回「ババ抜きゲームもどき」でリスク・リターンの悪さに警鐘を鳴らした。
 第2回「キャッシュフローで読み解く」で投資判断軸とカラクリを説明した。
 第3回「嘘八百の殺し文句」で不動産業者の詭弁の数々を暴いた。
 第4回は騙される方が悪いと言う前提で、サラリーマン大家の勘違いを戒めたい。

不労所得なんて楽な道がある訳ないだろ

 「経済的自由を得るために「投資」は絶対に必要だと思い、不労所得を増やすために頑張ってます」などと不動産投資家は夢を見る。まともな仕事について稼いでいる人にとっては割の悪い業務でしかないのに、勘違いはこうして作られる。

(1) 最初に預金通帳が膨らみ、人に見せたくなる
(2) 銀行融資が自分の信用であるかのようで嬉しい
(3) 初年度が一番儲かり、確定申告で所得税まで還付され、一時的にキャッシュリッチになる
(4) 資産家・オーナーなどと呼ばれて自分は働かずに資産が稼いでくれていると思い込む

 確認しておこう。(1)は見せ金で、預り金やキャッシュフローの前倒しに過ぎない。(2)は自分の信用だけではない。会社の信用や連帯保証や自宅の共担もあるかもしれない。(3)は誰にでもあるビギナーズラックだ。(4)は資産が膨れているが、その分負債も膨れているので、自己資本が膨らんでいるかが最も肝心なことだ。不動産を購入したばかりで資本は膨れたりしないので、まだ資産家ではない。それに不労所得ではない。不動産経営者として運営判断を的確にやらなければ、将来のキャッシュフローはおぼつかない。

なぜお金を貸してくれるのか?

 不動産投資をしている人はビジネスマンとしては冴えない人が多いという印象を私は持っている。不動産投資家の前で話をする機会が何度となくあったが、本業では結果を残せなかったので、自分の活用できる資源としての「会社の信用」を利用して、不動産投資で出世分を補うかのように見える。なぜ自分のような人間に多額のローンを付けてくれるのか冷静に考えた方がいい。

 お金を貸している金融機関も不動産投資のリスクを分かってない。うちは賃貸住宅に関する市場調査を日本一やっているが、あまねく金融機関に情報やサービスを提供している訳ではない。キャッシュフローシミュレーションをするためには、いくらで貸せるか、いくらで売れるか、収益のボラティリティがどの程度あるか知らなければできない。しかし、それを聞かれたことは数えるほどしかない。

 不動産経営の実態を知らない人がオーナーになったり、ローンを貸したりしている。オーナーは幻想を、資金の貸し手は目先の目標を見ているだけである。しかし、不動産投資は長い期間続いていく。市場リスクにさらされた際に、どちらも大損することになる。そんな中でローン返済できなくなったら、自己破産を迫られるかもしれない。だから、借り手はローンを返すことに全力を尽くさなければならない。

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著者プロフィール

沖 有人(おき・ゆうじん)

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。会計事務所系コンサルティング会社、不動産マーケティング会社を経て、98年、アトラクターズ・ラボ(株)設立、代表取締役に就任。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合、賃貸住宅分野では自他共に認める第一人者である。提供サービスとして、住宅市場マクロ調査・エリア市況調査・案件調査レポート・各種ASP(賃料査定・物件事例出し)などをデベロッパー、ハウスメーカー、AM会社、PM会社、レンダーなど100社以上に提供実績がある(詳細はこちら)。「投資・証券化のための不動産の調査・分析・評価の実務」(共著)、アカデミーヒルズ講師など執筆や講演でも活躍中。



このコラムについて

不動産投資の罠

不動産投資はからくりに満ちている。儲かるように見せかけることができるので、騙される人が後を絶たない。不動産投資はいつ終わるか分からない「ババ抜き」をやっているようなものだ。高く売り抜けたら、このゲームを終えることができる。最後にババを手元に残した人が大損して、最悪は自己破産することになる。不動産業界に精通した著者が、個人による安易な不動産投資に警鐘を鳴らす。

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