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民主党政権の迷走、伊藤博文の滑走

明治国家の確立と時限爆弾(前編)

  • 村井 哲也

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2012年1月30日(月)

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 1月24日、第180回通常国会が召集された。首相の野田佳彦は施政方針演説を「決断する政治」で切り出し、そして締めくくった。東日本大震災からの復興、税・社会保障の一体改革、TPP交渉と、目の前には日本の将来を左右する喫緊の難題が横たわっている。にもかかわらず、この国では決められない政治が続いている。

 問題の所在は政策以前にある。国家の基本的な意思決定すら果たせない現状だ。1990年代の冷戦終結・バブル崩壊から、戦後国家を長く支えてきた自民党政権は動揺し、2009年に歴史的な政権交代が実現した。だが、漠然と期待を集めた民主党政権は迷走を続け、日本政治の閉塞感は高まっている。民主党の政権担当能力、そして指導者の資質欠如といった要因もたしかにあろう。しかしそれだけなのだろうか。

 イギリスの哲学者トマス・ホッブズは、幻獣「リヴァイアサン」たる国家を人体になぞらえた。諸々の機関と国民との運命共同体である国家は、さながら生き物のようだ。常に激しい時代の変化に晒される国家は、その巨大な体躯の生存を図るべく多岐にわたる意思を決定する。であるならば、時代の変化に対応し続ける「意思決定システム」こそ生き物と呼ぶにふさわしい。

 そして、時代に応じてシステムに生命を吹き込んでいく責任を負っているのが、国家意思の最高決定権者である首相にほかならない。このシステムの機能不全を考えず、近年の首相の資質や政策を議論するだけでは閉塞感は打破できない。

 突破する鍵は日本政治における意思決定システムの歴史の中にある。世界でも異例だった自民党の長期政権は、強力かつ固定的な意思決定のルーティン化をもたらした。そこに過去を振り返る必要はなかった。システムが破綻したのであれば、それ以前の歴史から現在まで鳥瞰して様々な示唆を得ていくことが、将来の有効な鍵となるのではないか。

 この連載は、初代伊藤博文から現在まで、日本の首相が激しい時代の変化に晒されながら熾烈な権力闘争をくぐり抜け、自らが指導力を発揮できる意思決定システムを築かんともがいてきた様を描くものである。

 明治国家を築いた元老たちや戦後国家を復興した吉田茂を英雄視し、悲劇的な戦争を招いた東條英機や迷走を続ける近年の首相を断罪するだけでは、日本政治は前に進めないのではないか。彼らと意思決定システムとの葛藤の歴史に、ただ示唆を請うのみである。

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