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モチベーション不在の東電値上げ

2012年2月3日(金)

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 東京電力の「値上げ」が物議を醸している。「値上げは事業者としての権利」という昨年末の西沢俊夫社長の発言は枝野幸男経産相に厳しくたしなめられたが、結局1月17日に同社は企業や自治体など大口契約者向け料金を今年4月から17%引き上げると発表。その後家庭向けも10月から10%値上げする案が浮上している。

 一方、値上げの根拠となる燃料コスト増の詳細な内容やリストラ効果への言及はなく、政府内部には「算定根拠が不明確」との批判が広がり、枝野経産相は1月31日の閣議後の記者会見で「値上げの根拠、情報を適切に公表しながら進めてほしい」と見直しを求めた。原発再稼働の是非や発送電分離など、一連の電力改革について方向性すら定まらない段階でユーザーに「値上げ」だけを押し付けた形の東電。“とりあえず、わが社がつぶれないようにご負担をお願いしたい”ということのようだ。これでは顧客は辛抱のしがいがなく、公的資金を投じて同社を支える国民にもモチベーション(動機づけ)がない。

値上げに産業界から上がる悲鳴

 産業界からは「(電炉メーカーは)利益が吹き飛ぶどころか赤字に転落する。日本の産業にとって大きな問題だ」(日本鉄鋼連盟の林田英治会長=JFEスチール社長=)「電力を大量消費する非鉄業界にとっては死活問題」(日本鉱業協会の家守伸正会長=住友金属鉱山社長=)といった悲鳴に加え、「値上げの算定根拠や合理化目標を説明すべきだ」(経済同友会の長谷川閑史代表幹事=武田薬品工業社長=)という注文もついた。「電力の安定供給に火力しかなく今の段階ではやむを得ない。まだまだ辛抱できる」(経団連の米倉弘昌会長=住友化学会長=)といった物わかりの良い“容認派”は、ほんの一握りだ。

 企業の反発が強いのは、輸出依存度の高い製造業などは、ただでさえ、円高で収益が圧迫されていて、さらなるコスト増加要因を受け入れる余地がないからだろう。おまけに「この値上げには展望がない」と大手電機メーカー関係者は指摘する。東電は今回の企業向け17%値上げによって約4000億円の採算改善効果があるとしているが、原発停止に伴う代替火力の燃料費増加分だけで12年3月期は約8300億円の見通し。企業向けだけでは半分もカバーできず、次に予定している家庭向けの10%値上げによって、ようやくコスト上昇分を賄える計算だ。

 しかし、これはあくまで通常の電力事業の話。福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)事故によって、東電には巨額の事故処理費用がのしかかっている。損害賠償については原子力損害賠償支援機構が資金を送り続ける仕組みになっているが、これも立て替えているだけで東電には返済義務がある。それ以外にも、福島第1と福島第2原発(福島県楢葉町)にある計10基の原発の廃炉費用が4兆~5兆円、周辺地域の除染費用の総額約40兆円といった数字がある。

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