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「将来世代にツケを回さない」が大前提

エネルギーシステムに持続可能性原則を

  • 植田 和弘

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2012年2月6日(月)

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 エネルギーを誰でも利用できるか。
 エネルギーを安全に利用できるか。
 エネルギーの大量消費が環境破壊を招かないか。
 エネルギーの価格は安定しているか。

 エネルギー問題とは、エネルギーシステムの欠陥から生じる諸問題のことであり、さまざまな問いを設定することができる。それは裏返せばエネルギー資源の利用の仕方に伴い生じる問題なのであり、それを決めるエネルギーシステムの設計の問題であるといえる。

 今後のエネルギーシステムを考える際には、これまでのエネルギーシステムに対する評価が不可欠である。福島原発事故の教訓を踏まえ、その後の経過の中で明らかになったこれまでのエネルギーシステムの欠陥を克服するものでなければならない。

 現在、我々が直面しているエネルギーシステムの選択問題は、かなり長期にわたってエネルギー問題に対する我々の態度を規定するものになる。エネルギーシステムの選択が、長期にわたってさまざまな事象に大きな影響を及ぼすとするならば、その設計における基本的な原理を確認しておかなければならない。

人間活動を持続させるための公準

 その最も基礎にある原理は「持続可能性(sustainability)」である。

 持続可能性は多様に定義されているが、エネルギーシステムの設計原理としてまず確認されるべきは、環境経済学者のH.デイリーによる持続可能性の3原則である。デイリーは、人間社会は自然界の法則に適合した活動を行うのでなければ持続可能とはなり得ず、そのためには、次の3つの原則を満たさなければならないと述べた。

(1)人間活動から排出される廃棄物は環境容量の範囲内でなければならない
(2)人間社会は資源を利用しなければ、その生存と発展は保障されないが、利用する資源は2種類に分けることができ、そのうちの再生可能資源については再生可能な範囲内で利用しなければならない
(3)もう1つの資源、再生不能資源は利用すれば必ずストックが減少するのでもともと持続可能ではないけれども、再生不能資源を利用することで減少するストックが提供する機能を再生可能資源が補ってくれる範囲内であれば利用してもよい

 以上の3つがワンセットになったデイリーの持続可能性原則は、人間活動が自然の法則に適合する―そうでなければ人間社会は持続可能ではないとデイリーは考える―ための公準ともいえる原則であり、これを満たすエネルギーシステムを考えることが、少なくとも長期的にはシステム選択のための絶対的条件になる。

 上記の3原則に照らしてみると、長期的には再生可能エネルギー資源を中核に置いたエネルギーシステムに移行していかなければならない。石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料資源は再生不能資源であり、デイリーの持続可能性原則に照らすならば、再生可能資源が補ってくれる範囲内での利用に限定されなければならない。また、化石燃料資源の利用は、それに伴って排出される温室効果ガスが環境容量の範囲内に抑制されなければならず、現状の温室効果ガス排出量はすでにこのレベルをかなり超えている。したがって、化石燃料資源の利用量は削減する方向での強いコントロールが求められるであろう。

 原子力発電はどうであろうか。原子力発電もウラン燃料に依拠しているという点では、再生不能資源を利用する発電方式である。そのため、究極的には化石燃料資源と同様に、ウラン燃料ストックの利用に伴い減少する機能分を再生可能資源によって補える範囲内でしか利用することはできない。原子力発電はその発電過程でそれほど多くの温室効果ガスを排出しないため、気候変動と関連する大気環境容量という点ではデイリーの原則にかなうかもしれないが、放射性廃棄物や放射能汚染の問題については、とても容量の範囲内ということはできない。

 それに対して、再生可能エネルギーの場合には、その本来的な性質からいって、デイリーの3原則を満たしやすい。もちろん、風、太陽、地熱、中小水力、バイオマス、などの再生可能エネルギー資源を利用する過程で環境・資源や廃棄物の問題が生じる可能性はあるけれども、その深刻さは他のエネルギー資源と比較するならば、比べ物にならないほど小さい。

コメント5件コメント/レビュー

原子力発電に一番熱心だったのはCO2取引で儲けている連中ですよ。CO2を出すのはダメなんでしょ。地球温暖化をCO2のせいにして最終的にはCO2取引と原発で儲けるつもりだったんでしょう。温暖化しているのは太陽の活動の影響が最も大きいのにね。(2012/02/09)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

原子力発電に一番熱心だったのはCO2取引で儲けている連中ですよ。CO2を出すのはダメなんでしょ。地球温暖化をCO2のせいにして最終的にはCO2取引と原発で儲けるつもりだったんでしょう。温暖化しているのは太陽の活動の影響が最も大きいのにね。(2012/02/09)

「放射性廃棄物や放射能汚染の問題については、とても容量の範囲内ということはできない。」という時点で、すでに主観が百パーセント入っている。地球または自然は放射性物質を気にしない。気にするのは人だけだ。環境に耐えられない生物は死に、耐えられる生物が生きのこる。その記事の三つの定義には人にとってか、他の動植物にとってかという視点が抜けている。また短期しか考えられておらず、時間の流れが無視されているので、中期的な技術発展についても考慮されていない。冷却剤の研究によって高速増殖炉が、あるいは日本以外で実用化される可能性が考えられる。また、ここが一番問題なのだが、その記事には 「権利」 と資源の関係の定義が無い。各国政府が環境条約から、いつでも離脱可能で、かつ条約に拘束力が乏しく、かつ排出権取引が架空取引であり、金持ちに金、資源を使うなと言えない以上、その議論では反原子力というだけで、不足だ。(2012/02/09)

再生可能資源である木材や人間が足らずに、石炭と蒸気機関で産業革命が勃興しましたが、当時その3原則があれば産業革命はNoであり、現在も当時のままでの生活をしていたはずですし、今ではそのCO2を使ったモノ作りも始まっています。どちらを選ぶのでしょうか?「放射性廃棄物や放射能汚染の問題」も今現在の問題というだけであり、将来、放射線から直接電気が得られることになれば、つまりCO2同様、資源化する可能性もあります。「再生可能エネルギー資源・・・の深刻さは他のエネルギー資源と比較するならば、比べ物にならないほど小さい」ことは厳密に検証されているのでしょうか?思い込みではありませんか?人体からの排泄物は環境容量に収まっているのでしょうか?例え再生可能エネルギーでも最後は熱エネルギーとなります。放置していてよいのでしょうか?(2012/02/08)

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