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「財閥の娘たち」がパン屋を突然閉めた理由

韓国財閥に批判噴出「企業ばかりが儲けすぎ」

2012年2月7日(火)

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 韓国で財閥への怒りが噴出している。激しくなる一方の貧富格差が発火点だ。「反財閥」運動は左派政権誕生を強く後押しする。日本にとって対岸の火事ではない。

ベーカリー・チェーンから一斉に撤退

 1月下旬、韓国の財閥が外食産業から手を引くと一斉に表明した。まず、サムスングループが「傘下のホテル新羅が手掛けていたベーカリーカフェ・ショップから撤退する」と発表。続いて現代自動車グループも同じくベーカリーカフェ・チェーンから、ロッテグループはベーカリー・チェーンからの撤退を公表した。

 いずれも経営者は財閥オーナーの娘。撤退騒動のきっかけは「二世、三世がオーナー一家の特権を生かして気まぐれに商売に手を出し、街のパン屋の客を奪っている」と韓国紙が厳しく批判したことだった。

 さらに、政権末期のスキャンダル続出ですっかり求心力を失っている李明博大統領が、新聞の尻馬に乗り二世、三世のベーカリー事業の実態調査を命じたことが決定打となった。

「相続税逃れの子会社」

 昨年夏にもよく似たパターンの撤退騒動が繰り広げられた。標的となったのはやはり財閥の子会社で消耗品の調達代行会社。新聞が「中小の納品業者の仕事を奪っている。さらに、財閥への納入を一手に握ることで、規模が小さい割に巨額の不当な利益をあげている。財閥二世、三世はこれら調達代行会社を所有することにより、相続税を支払わずに事実上の財産分与を受けている」と厳しく追及した。すると青瓦台(大統領府)も同調。サムスンやSKなど財閥グループは調達代行分野から撤退を余儀なくされた。

 新聞の財閥批判が激しくなったのは昨年から。皮肉なことに、財閥企業が快進撃し「世界に冠たる韓国企業」が続々誕生した時期と重なる。トヨタ自動車、パナソニック、ソニー、シヤープなど日本の優良企業が軒並み赤字に陥る中、サムスン電子や現代自動車は2011年度の連結決算でそれぞれ13兆7000億ウォン(邦貨換算約9200億円)、8兆1000億ウォン(同約5800億円)の純利益をあげた。

 昨年の韓国各紙の経済面は「日本に勝った!」「我が国が世界一」といった自賛の記事であふれ返った。しかし、多くの新聞の社説は「財閥は大儲けしたが、庶民は貧しくなるばかりだ」と“病んだ経済構造”に強い懸念を示した。「オーナーの娘たちのパン商売」や「調達代行会社の乱立」に関する記事は「反財閥」ムードが高潮する中で「その横暴ぶりを示す具体的証拠」として書かれたものだ。

「企業の取り分」が2倍に

 1997年末の経済危機以降、韓国には「企業だけが儲かる」構造が定着した。産業研究院の姜斗龍・動向分析室長の研究によると、75年から97年までの高度成長期には、企業の所得の総計は家計所得のそれの10%以下だった。それが2002年以降に10%を上回り始め、10年にはついに20%を超えた。

 儲けのうち、「企業の取り分」の割合が2倍になった半面、「家計の取り分」がその分減っていることを示す。「米国や日本でもこうした傾向は若干見られるが、その比率はまだ10%前後にとどまっている」と姜斗龍・室長は韓国の異常さを指摘する。

コメント2件コメント/レビュー

どこぞの記事のように韓国財閥万歳の記事とは比べ物にならないくらい参考になりました。(2012/02/08)

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「「財閥の娘たち」がパン屋を突然閉めた理由」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

どこぞの記事のように韓国財閥万歳の記事とは比べ物にならないくらい参考になりました。(2012/02/08)

記事を何度か読み返しましたが、財閥オーナーの娘(二代目や三代目)がパン屋を経営することが、なぜ節税と財産移転につながるのか理解できません。たとえ金持ちの道楽であろうとも、そこに雇用が産まれ、また調達代行会社を排除すれば原材料を提供する中小零細の仕入れ元も売り上げを計上することにつながりそうですが、日本の税制と比べて著しく不公平な抜け穴でもあるのでしょうか???タイトルが気になって記事を閲覧した1人としては不完全燃焼気味です。(2012/02/07)

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