「フクシマ後の電力コスト」

風力と地熱は、原発や火力と同じくらい安くなりうる

日本初、再生可能エネルギーの発電コストを体系的に試算する

  • 田中 良典

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2012年2月9日(木)

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 コスト等検証委員会が昨年12月に取りまとめた報告書のポイントの解説の第2回目に当たる今回は、将来の主要電源として期待が高まる再生可能エネルギーの発電コストと普及ポテンシャルに焦点を当てて紹介したい。

 2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故を契機に、政府は昨年夏、原発への依存を低減すると同時に、省エネルギーを進め、再生可能エネルギーの比率を高め、化石燃料をクリーン化する、という新たなエネルギー戦略の基本理念を示した。

 この基本理念を具体化するための中長期的な戦略・計画を夏までに策定するに当たり、原発が果たしてきた電力供給の穴埋めを再生可能エネルギーは、いつ頃までに、どの程度まで果たすことができるのだろうか。この問題を考える上で初めに直面した疑問が、以下の2点であった。

 (1)他の電源と条件をそろえて比べた場合、再生可能エネルギーの発電コストは、どのレベルにあり、いつ頃までにどの程度まで下げられるのだろうか?

 (2)地域の特性に左右されがちな再生可能エネルギーは、日本において、どの程度まで普及するポテンシャルがあるのだろうか?

 (1)の発電コストについて見ると、これまで、原発や火力発電とコスト比較ができるように試算条件を揃えた上で、再生可能エネルギー設備が新設された場合の、現在及び将来のコスト試算を体系的に行った例は過去に見られなかった。

 (2)の普及ポテンシャルについて見ると、関係省庁がそれぞれ行った調査の定義や前提条件の異なる数字が、それらの違いを十分に認識されないままで他の電源の発電電力量との比較に用いられて、議論がかみ合わない事態がしばしば見られた。

 こうした背景を受けて、コスト等検証委員会では、再生可能エネルギーについても(1)や(2)の検証を行うことにより、今年の春に向けて検討する新しいエネルギーミックスや地球温暖化対策の選択肢提示に必要な基礎的材料を提供することとなった。

燃料費と社会的費用はかからない

 前回の解説でも触れたとおり、コスト等検証委員会では、2010年、2020年、2030年に新たに運転を開始するモデルプラントを想定し、それらの稼働年数にわたって発生する(1)資本費、(2)燃料費、(3)運転管理費、(4)社会的費用(環境対策費+事故リスク対応費用+政策経費)の合計額を、稼働年数期間中に想定される発電電力量で割るという計算式に基づき、発電単価(円/キロワット時)を試算した。

 再生可能エネルギーの試算に当たっては、(2)燃料費がバイオマス発電など一部を除き、かからないこと、(4)社会的費用については、温室効果ガスを排出しないこと、事故リスク対応費用を上乗せする必要がないこと、技術開発予算などの政策経費を直近のわずかな電力量で割った値をコストに上乗せするのは適当でないこと、などの理由から、基本的には、(1)資本費と(3)運転管理費を発電電力量で割るという計算式を用いることとした。

 その上で、割引率、稼働年数、建設費(補助金実績や事業者ヒアリングなどを踏まえ、上限値と下限値を幅で設定)、将来の価格見通しのシナリオのパターンに応じて、複数の試算を行った。この結果、例えば2010年の新設プラントの発電単価を見ると、住宅用太陽光で48パターン、地熱では120パターンとなった。その全てをここで紹介することはできないが、概観を紹介すると次のページの通りである。


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