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第1回 津波研究者が見た“悪夢”

東北大学・津波工学研究室(1)

2012年2月21日(火)

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 世界の環境、文化、動植物を見守り、地球のいまを伝える「ナショナル ジオグラフィック」。そのウェブ版である「Webナショジオ」の名物連載「研究室に行ってみた」を日経ビジネスオンラインの読者にお届けします。第1回は、昨年の震災でにわかに注目を集めた津波について。津波工学研究室からの報告です。

 2011年3月11日。日本の東北地方沖で発生したマグニチュード9の巨大地震による巨大津波は、宮城県、岩手県、福島県の3県を中心に、北海道から関東地方の太平洋岸にかけて大きな被害をもたらした。場所によっては波高10m以上、遡上高40m以上を記録。これだけの津波が近代都市を襲ったのは史上はじめてである。3.11からおよそ1年。私たちは何を学び、これから何をすべきなのか。津波工学研究の第一人者が解明した巨大津波の真相と対策。

 2011年の3月11日、ぼくは取材でカンボジアに滞在していた。

 大地震の発生から2時間ほどたった頃に、宿泊先のホテルに戻ってきてインターネットで知った。部屋で視聴できるCNNなどの海外メディアも、すぐに震災一色になったので、とにかく日本で「とんでもないことが起こっている」と把握できた。最短で帰国できる飛行機で東京の自宅に戻ることに決めた。

 その時点で報道されていたものの中で、最も衝撃を受けたのが、東北地方太平洋岸の津波の映像だった。巨大な水の壁というか、岸の見えない巨大な大河が逆流してくるかのような現象が、あちこちの都市を破壊していくのは、ただただ恐ろしかった。それらはたまたま被害の現場に居合わせた人が撮影したビデオだったり、公的機関の公開映像だったりしたわけだが、今では観測データをもとにコンピュータシミュレーションで再現したCGで、マクロな視点から確認出来る。

(CG提供:今村文彦)

 海底の断層がずれた長大な海域で大きく水が持ち上がり、単なる波というより、巨大な水塊として、沿岸を襲った。それも、第2波、第3波と、延々と繰り返されて、特に仙台湾のような浅い海では、押し寄せた水塊が高い水の壁となって陸地になだれ込んだ。あくまで俯瞰的に「起こったこと」を再現したCGを観るだけでも、充分すぎるくらい生々しく、心が痛く、胸が苦しい。

 さて、カンボジアから日本に戻る道中、様々な人たちが、被害に対する深い同情の言葉を述べてくれた。その際、映像で目の当たりにした津波のすさまじさについて話題にする人が多かった。単純に自然の猛威を恐怖するコメントや、なぜ日本のような「先進国」でもあの津波を食い止められなかったのか、そもそもどうして津波リスクのあるところに町を作ったのか……といった素朴な問いまで。

 震災後の慌ただしく落ち着かない日々、様々な雑事に引っかき回されつつも、具体的な意味で「復興」について語られることが多くなった昨今、こういった素朴な疑問について考えるようになった。それほどあの津波は衝撃的だったし、多くの人命を奪い、町を破壊した。

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「第1回 津波研究者が見た“悪夢”」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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