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橋下徹の独裁批判と東條英機の“水商売”

敗戦への道と明治国家の終焉(中編)

  • 村井 哲也

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2012年2月21日(火)

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独裁論争と明治憲法の深淵にあるもの

 大阪市長・橋下徹の政治手法をめぐる独裁論争が世の中を賑わせた。周知の通り、両者の論争は噛み合わない。一方は相手の無能ぶりが露呈されたと快哉を上げ、一方は相手の独裁ぶりが露呈されたと溜飲を下げる。勝敗に興味はないが、不思議な決着だ。

 前市長陣営や識者は、「ハシズム」「独裁」のレッテルを貼るのに忙しく、大阪市政の構造的な問題点も具体的な解決策も語ろうとしなかった。橋下は、「偉そうに批判するなら打席に立て」と野球解説者に猛攻をかけ、独裁的な手法の何が長所で何が短所になるのかバランスよく語ろうとしなかった。断罪合戦は、何とももったいない。

 お互いの痛いところを当事者がどう語るのか。誰もが聞きたかったことだ。独裁とleadershipの違いは何か、現在の閉塞感の深淵には何があるのか。そこまで掘り下げる好機だったのに、すでに話題は「船中八策」に移ってしまった。

 東條英機は、憲政史上で最も悪名高い首相だ。陸相として日米交渉に強硬な態度を示し、首相として日米開戦を決定して戦争指導にあたり、翼賛選挙や憲兵政治で干渉と弾圧を繰り広げた。ついには首相権限を強化し、続けざまに多くのポストを兼任した。以上が、A級戦犯となり絞首刑となった「東條独裁」の内実と言われるものだ。

 橋下と東條を比較したい訳ではない。そもそも、戦後国家の市長と明治国家の首相を直接に比較できない。歴史のご都合的な引用で、橋本の政治手法が是か非か論じたい訳でもない。歴史の本来の役割は、過去の経験から普遍的な示唆を得ることだ。それを掘り下げてみたい。

 教科書的に言えば、leadershipはfollowerの自発的な支持で成り立ち、独裁はfollowerに強制的な支持をしいる。混同されがちだが、followerには2つある。国民と政界だ。あれほどの悲惨な結果を招いたのだから、前者へのleaderの責任は限りなく重い。だが、焦点をあてるのはleaderを取り囲んだ後者だ。「東條独裁」と呼ぶ資格はあったのか。

 その深淵には、明治憲法の矛盾がある。元老・政党が衰退してからの明治国家は、統帥大権を振りかざす陸軍による首相の「傀儡」化に悩まされてきた。これが意思決定システムを漂流させた。だが東條は、やがて政権を担当することの辛苦を味わう。「近衛には悪いことをした…首相になってみてそれがよくわかった」。そして、戦争の途上で総辞職した。「東條独裁」のはずではなかったのか。

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