広告宣伝一切なし、マーケティング部門もない。何より、目の前にいる顧客の声を聞いて製品開発することを重視する。音楽や旅、人々の出会いを通じて得られたインスピレーションをそのまま商品で表現する−−。
化粧品の製造小売り(SPA)、英ラッシュはこんな独特の経営戦略を取っている。49の国と地域に拠点を持つグローバルカンパニーに成長した今でも、創業者のマーク・コンスタンティン氏が掲げる強い信念が、企業文化を形作っていることに変化はない。「ソーシャル活用売上ランキング」でもその個性が光った。
ラッシュジャパンの「総合スコア(偏差値)」は53.3で総合順位は33位。際立って高いというわけではない。ただ特筆すべきは、同社のソーシャルメディア上の情報を見聞きすることによって好感・共感を覚えた人が、購買という実際の消費行動を起こす割合が、ランキング化した100企業・ブランドのうち最も高いことだ。
企業のソーシャルメディア活用は、ファンとの交流の場として好感・共感を得てもらうことを狙いに掲げる企業が少なくない。まさにそれを体現するのがラッシュジャパンということになる。
ランキングのベースとなった、約1万5000人に及ぶ消費者アンケートでは、「好感を持った」と答えた人のうち52.2%が消費行動を起こしたと回答している。消費行動とは「購入や利用の候補に加えた」「購入・利用した」「繰り返し購入・利用するようになった」という3項目のいずれかを指す。
好感・共感を得て消費行動が5割超となった唯一の会社
同じく「共感した」人の53.8%が消費行動を起こした。好感・共感と消費行動にまつわる2つ数字で共に50%を超えたのは、ラッシュジャパンだけである。
同社の戦略を見ていくと、こうした結果は広告宣伝費ゼロという“逆境”の結果として生まれたものだと気付かされる。
ラッシュジャパンのソーシャルメディア活用のキーワードは「接客」だ。フレッシュな果物や野菜などを原材料に、石けん、「バスボム」と呼ぶいわゆる入浴剤、化粧品など、ラッシュはすべての製品を手作りする。化粧品としては原材料費が高く、しかも手作りにこだわるから、おのずと製造コストは高くなる。
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