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震災の経験は洪水に生きた

JETRO井内摂男・バンコク事務所長に聞く

2012年3月8日(木)

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 タイ洪水からの復興を最も支援した国は日本だった。両国の産業に強いパイプがあるだけに、タイ政府の政策決定に与えた日本の影響は大きい。日本貿易振興機構(JETRO)の井内摂男・バンコク事務所長に、当時の対応や今後のタイ情勢の見通しを聞いた。

 昨年夏の終わりから洪水の噂が出ており、9月にアユタヤの遺跡群が水に浸かりました。洪水は例年あることですし、タイの人などの間には洪水後は農作物が豊作になって良いなどといった楽観論もありましたが、これは今までにない、大規模なことになりそうだという予測が出ました。

日本貿易振興機構(JETRO)の井内摂男・バンコク事務所長

 そして10月にはサハラタナタコン、ロジャナの工業団地に水が入り、大変なことになったという認識です。私自身は昨年7月にバンコクに赴任し、それ以前は経済産業省で東日本大震災の対応もしていましたから、直感的に超小企業の資金繰りや代替生産の大変さが分かりました。

 そこでまず、10月10日に相談窓口を作って、バンコクの日本企業の商工会議所の協力を得ながら、ウェブなどで告知を進めました。10月19日にはタイの工業大臣と面会する機会がありましたので、それまでに挙がっていた日本企業の要望をまとめ、書面にしてお渡ししました。

 日本企業側の要望としては、まず情報が手に入らない、英語の情報がないというところからです。加えて、タイ政府がどのような対応をしているのか。金型が水に浸かってしまい、それを取り出したいがどうすればいいのか。休業中の雇用をどうすればいいのか。日本では震災時に雇用調整助成金が出ましたが、そういったものは出るのか。体力のない中小企業では休業中の補償だけでも大変ですから。

日本に5000人のタイ人を受け入れ

 さらには、代替部品や機械を輸入する際の関税の免除や助成をして欲しい。中小企業の資金繰り支援やBOI(タイ投資委員会)への事前申請の規制緩和、日本からの応援部隊が入国する際のビザの緩和などが挙がってきました。

 タイ政府もこうした要望に対して、何らかの対応をする努力はしてくれました。各方面に対して大使館の協力も得て伝えましたし、洪水の復興委員会ができた際にはウィラポン委員長(前副首相)にも同様な提言をしました。

 雇用維持については、昨年11月から今年1月の3カ月間に1人当たり月3000バーツの補助をすることが決まりましたし、代替品の免税についても細目を詰めました。中小企業金融については、日本政策金融公庫のスキームを転用したり、企業の日本の本社経由で資金援助したりしました。

 10月25日に労務・法務のセミナーをJETROで開催しましたが、大変多くの関心を寄せてもらえました。そこで強く出てきた要望が、代替生産のためにタイから日本にタイ人の従業員を送りたいというものでした。研修というスキームでの入国では限界がありますし、実際に20~30社から具体的な要望をもらいました。中には1000人以上を送りたいと言う企業もあったくらいです。

 これには枝野幸男・経産大臣が強く問題意識を持って、迅速に対応してもらえました。結果的なタイから日本への受け入れ人数は4000~5000人規模になりました。タイ政府からしても、雇用の維持になりますし、技能習得にもなります。半年以内に戻すという前提がありましたので、話は積極的に進みました。

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