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“荒野の町”に芽吹く漁業と学びの未来

石巻市雄勝町で進む日本最先端モデルへの挑戦

2012年3月12日(月)

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 仙台市から車で2時間ほど揺られると、崩れ去ったその集落が目に入ってきた。

 宮城県石巻市雄勝町――。美しいリアス式海岸に面し、豊かな山々の養分を含んだ雨水や湧き水が流れ込む雄勝湾は、カキやホタテ、ホヤなどの日本屈指の養殖地として知られていた。人々の生活の源だった豊饒の海は今、何事もなかったかのように光り輝く。

 それとコントラスをなすように、かつて生活の営みがあった地域は、1年前の津波の傷跡が残ったままだ。全壊した家、瓦礫の山…。東日本大震災前に約4300人だったこの町の人口は1000人弱に急減した。

 自然の猛威を実感しながら車を滑らすと、港を見下ろす場所にある一軒の古民家にたどり着いた。

 昨年8月に産声を上げた漁師らからなる合同会社「OHガッツ」。ここが拠点だ。

きっかけは「3・11」

 3人の男たちが出迎えてくれた。OHガッツ代表で、地元で養殖業を営んでいる伊藤浩光(51)、そのメンバーで、1年前まで東京在住の起業家だった立花貴(42)、そして、子どもの職業体験施設「キッザニア」の運営会社幹部の肩書きを持ちながら雄勝への支援活動を続ける油井元太郎(36)だ。

 立花と油井は以前からの顔見知りだが、雄勝との接点はなかった。この2人が伊藤と出会い、この地での活動にのめりこむようになった。そのきっかけが「3・11」だった。

 伊藤は43歳で勤めていた運送会社を退社し、親からホヤ、カキなどの養殖業を引き継いだ。しかし、主体的に流通に関与できず、漁業者の手元には小売価格の4分の1程度の金額しか渡らない実態に愕然とする。

 「儲かるためには、漁業に経営を持ち込むしかない」。そう意を決した伊藤は、周囲の冷たい視線を浴びながらも震災の前年からホヤなど水産物の加工にも進出。韓国への輸出などで年間の売り上げを4000万円近くまでに伸ばした。

 やっと手ごたえを感じ始めた矢先、あの津波がすべてを流し去ってしまう。それでも、避難した高台から港や町が津波にのまれる様を見ながら、伊藤は早くも頭を切り替えていた。

 「まあ、仕方がない。古い漁業を変えるチャンスと思おう」

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「“荒野の町”に芽吹く漁業と学びの未来」の著者

安藤 毅

安藤 毅(あんどう・たけし)

日経ビジネス編集委員

日本経済新聞社で経済部、政治部などを経て2010年4月から日経ビジネス記者。2012年4月から現職。政治、経済政策を中心に執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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