通信各社がスマートフォンの大規模な値引き戦略に出ている。インフラ整備コストの増加懸念もあるが、利益は適正水準へ。スマホブームを周辺ビジネスに波及できるかが問われている。
通信セクターではスマートフォン(高機能携帯電話)の普及が、より重要性を増している。この2〜5月は、春の学生向けキャンペーンを各社が大々的に打ち出しており、スマホを前面にし、パケット通信料、基本通話料ともに昨年よりも値引き率が高い。
これは、潜在的な収益機会を前に、いち早く顧客をスマホに移行させようとしているためだ。顧客の囲い込みで、販売戦略がヒートアップしている。

ソフトバンクが先行していたスマホの国内における普及率は、2012年3月期に前期の8%から23%に、来期には39%になると予測している。この2〜3年が普及の山場だ。スマホの普及は、データ通信量の増大だけでなく、ほかの通信事業や端末の販売にもつながる可能性がある。
例えばKDDIの今春のキャンペーンでは、単なるスマホの値引きだけでなく、他社との提携も活用することで、光ケーブルによる固定回線やケーブルテレビとスマホとのパッケージ割引を打ち出している。
日本は携帯電話や固定回線などトータルの通信料金が海外に比べても割高だが、こうしたキャンペーンによって変化がもたらされるかもしれない。通信各社にとっても、利用者の増加は、固定費負担の軽減につながるメリットがある。
また、米アップルの「iPad」のようなタブレット端末や、無線LAN(構内情報通信網)用の携帯ルーターなどの端末も、スマホと組み合わせることで、今後の販売増加が見込める。各社はスマホという新たな商機を軸に、ほかの通信インフラや端末との最適な“順列組み合わせ”を模索している状況だ。
足元では、データ通信量は伸びているが、一方でユーザー1人当たりの売上高は下落が続いている。値引きキャンペーンの過熱で、当面は低下が続くが、数年をかけて横ばいになるだろう。
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