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インカ帝国の神話をミイラで証明!

国立科学博物館・人類史研究グループ(3)

2012年3月21日(水)

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 篠田さんの国立科学博物館での立場は、「人類史研究グループ長」だ。

 書いて字のごとく、人類の歴史を研究している。

(写真:藤谷清美、以下同)

 方法は、ミトコンドリアDNAの解析(後で少しだけ詳しく述べる)。つまり遺伝子の研究で、我々、人類がどういう来歴を辿ってきたのか、もっとローカルには「日本人」がどういう道筋で形成されたのかをテーマにしてきた。

 アンデスのミイラとは、どのように出会い、どんな調査研究をしてきたのだろう。

 話は1998年にさかのぼる。

 「まだ国立科学博物館に来る前だったんですが、当時の博物館の先生と一緒に研究をしていたんですね。アンデスの展覧会をやるのでDNAの分析もしたいと言われて、OKしたのが最初でした。じゃあ、歯を送ってください、と頼んだら、かわりに送られてきたのが、航空券だったと(笑)。最初、アンデスに行くつもりもなかったんですけど、まあ、しょうがないかと。しかし、何も分からないんで、成田空港で『地球の歩き方』を買ったくらいです。で、実際に行ってみますと、1回で終わるつもりが、全然終われなくて。そのうち、こちらに転勤になったので、ますます本格的にやるようになったという流れですね」

 篠田さんが最初に調査したのは、ペルー北部のシカンの遺跡だ。インカに多くの技術的な資産を残した文明として知られ、「黄金国家」の異名を持つ。この魅惑的なキャッチフレーズで、国立科学博物館でも特別展が開かれたことがある。南イリノイ大学の島田泉教授が中心となった執念の発掘エピソードは考古学の魅力を伝えてあまりあるのだが、また別の話。

ミトコンドリアDNAの採集に使った歯(レプリカ)。

 ちなみに、篠田さんが「歯を送ってください」と最初に述べたのは、篠田さんがDNAの分析をするのに一番よく使っているのが「歯」だからだ。

 「理由は……簡単に抜けるから(笑)。骨でやろうとすると、ノコギリで切ってすごく大変なんです。例えば歯を100個取ろうと思ったら、3日もあれば充分なんですが、骨だとただ事じゃない時間と手間がかかってしまう。あと、歯の場合、表面の汚れを塩酸で全部洗って、内側からサンプルを取れるので、非常にハンドリングが楽なんですよね。もっとも、歯の形態などを見たい研究者にはすごい評判悪いんですけど」

 篠田さんから、抜き取った歯のレプリカを見せてもらった。DNAを分析するために破壊してしまうため、歯科医が使うレジンで複製を作って、のちのち他の研究者が参照できるようにしているのだという。貴重な人骨やミイラは、様々な分野の研究者が、独自の観点で調べたいと思っているわけで、このような配慮が必要になる。

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「インカ帝国の神話をミイラで証明!」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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