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ヒトの進化はアフリカ限定だった!

国立科学博物館・人類史研究グループ(5)

2012年3月30日(金)

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 まずは、現生人類の母方の祖先をどんどん辿っていったらたった一人の共通の祖先に行き着く、いわゆるミトコンドリア・イヴの話。

 ミトコンドリアDNAの突然変異の発生率と、現在の人類のミトコンドリアのDNAの多様性を考え合わせると、だいたいの時代がわかるという。篠田さんによれば──

 「実はせいぜい15万年とか20万年前なんです。これは人類史の観点からは、非常に新しい時代です。人類は700万年前ぐらいにゴリラ・チンパンジーの共通祖先から分かれて、アフリカ大陸を出たのが200万年前ですね。それ以降、世界の各地で、旧人ですとか原人とかいわれるグループが出てきます。世界の各地の人たちはそこから独自に進化して、今の人類になったんだと、20年ぐらい前は考えられていました。これが正しいとすると、人類の共通祖先を探していけば、100万年、200万年前に戻っていくはずなのに、ミトコンドリアDNAの分析で、実は10分の1の歴史しかないということが分かったわけです」

 母系で伝わるミトコンドリアの研究だから、その共通祖先は当然女性ということになり、ミトコンドリア・イヴとして大いに話題になった。

奥が古くて手前ほど新しい。

 ただ、篠田さんが慎重になるように、この話には注釈をつけておく必要がある。「すべての人類の母」というイメージを持たれがちなのだが、それは明確に間違えだ。その女性の同時代には、ほかの男女も生きており、その中には我々の先祖となった人もたくさんいると考えられる。たまたまある女性が持っていたミトコンドリアが、今のすべての人類が持っているミトコンドリアの起源になった、という不思議は充分驚嘆に値するのだけれど、その時にその女性が一人きりで暮らしていたわけではない。あくまで、我々の祖先の一つになった集団に属していた、という理解が正しい。

 「ミトコンドリア・イヴを包含する集団は、数千人くらいの規模だったと思います。祖先を辿ったら、1人の女性に行き着くというわけでは決してなく、1つの遺伝子を交配しているグループに行き着くくらいのイメージでとらえたほうがいいんです。1人の女性に行き着くという言葉の響きは、非常によくないと思っています」

 ちなみに、ミトコンドリアの変異をまるで動物の系統樹のように考えて分析していくと、15万年から20万年前の「ミトコンドリア・イヴ集団」はまだアフリカにいた可能性が高い。さきほど、人類は200万年前にアフリカを出たと篠田さんの発言を引いたが、ここでの「人類」は、北京原人やらジャワ原人といった旧人・原人のたぐいを含めたものだ。日常言語で「人類」と述べると現生人類ホモ・サピエンスのことを指すように思うが、研究者が同じ言葉を使う時、もう少し広く旧人・原人を含めた「ホミノイド(ホモ属)」を指すことがある。ここから先、混乱しないように現生人類のことは、きちんと「現生人類」と表記する。

 とにかく、現生人類であるホモ・サピエンスの祖先「ミトコンドリア・イヴ集団」はまだアフリカに留まっていたというのがポイント。

 これはほかの研究からも支持される。

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「ヒトの進化はアフリカ限定だった!」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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