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プーチン氏は幸せをくれる支配者か?

認めざるを得ない雄弁と政治家としての力量

  • 菊池 由希子

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2012年3月19日(月)

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 駆け出しの通訳にとって、最初は訳せないことや聞き取れないことも多く、毎回ハラハラしながら仕事をすることになる。特にロシア人の話の映像を聞きながら訳していると、はっきりと聞き取れないことがよくある。モニャモニャ話す老人やスラングばかりを使ってやたらと早口でしゃべるの女の子のインタビューなどには本当に困らされる。だから、聞き取りやすく話してくれる人の話を訳している時は、とてもほっとする。

 こんなふうに経験に乏しい通訳にとってのジェントルマンといえば、群を抜いてプーチン首相であろう。おまけに彼の言葉は、マイクやアンプを通しても決してかすれないのだ。これほど通訳に対する思いやりのある話者はいない。

 メドベージェフ現大統領の言葉もなかなか聞き取りやすいが、プーチン氏の歯切れの良い母語力といったら、ロシア語を専門とするロシア人の教授たちが大絶賛するくらい見事なのだ。それだけではなく、先の大統領選挙では他の大統領候補の演説など聞く価値さえないのではないかと思わせてしまうほどの雄弁さを披露していた。

 プーチン氏の支持集会に、仮にプーチン氏を支持していない人が行ったとしても、胸を熱くし、思わず歓声を上げてしまったことだろう。私もまた、迫力のあるプーチン氏の演説聴きながら、一票を投じたくなりそうな自分に気づき、我に返ったという経験がある。

 プーチン氏はスピーチ力だけではなく、見た目にも人一倍気を配り、60歳を目前にした今、ボトックス注射をして顔面のしわを取ったり、筋肉を鍛えたりして、様になる姿を国民に常にアピールしてきた。

 政治家にとっては、「カッコイイから」という理由だけで一票を入れてもらえることも実は大切だ。政治に全く興味のない国民にとっても、日々のニュースが楽しみになるので、見た目が良いことはお互いにプラスなのだ。それに見た目の良い政治家は他国でも有名になり、失脚した後でさえ、覚えてもらえるというメリットもある。

 たとえばウクライナのティモシェンコ元首相は旧ソ連一美しい首相として今も人々に忘れ去られることがない。失脚して刑務所に入れられた今も、彼女を支持する国民や欧米人らによって、ヤヌコビッチ現ウクライナ大統領は批難され、その地位が揺らいでいる。

 日本の首相はあまりにも交代が激しいので、歴代首相は日本人にさえも忘れ去られるのだから、外国人に至っては誰も覚えていない。そんな中で覚えてもらっているのは小泉元首相くらいである。野田首相、菅前首相、ロシアとゆかりの深い鳩山元首相よりも、「まるで映画に出てきそうな」小泉元首相のほうが、ロシア人の印象にも残っているようだ。

急速に欧米並みになっていった生活水準

 私は2000年に初めてロシアへ渡航した。そして2002年からモスクワへ留学し、2008年まで暮らした。私にとってはレーニン、スターリンといったソ連時代の歴代書記長だけでなく、ゴルバチョフもエリツィンも歴史上の人物でしかない。リアルに肌で感じてきたのはまさしくプーチン政治であり、経済成長を遂げていくモスクワで、その恩恵をたっぷり受けさせてもらった。

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