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坊主と牧師、一緒に仮設カフェで「悩み」聴きます!

被災地で始まった「宗教連合」を密着取材

2012年3月16日(金)

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 冷たい雨がそぼ降る2月。

 宮城県石巻市の郊外にある大森仮設住宅の集会場に、宮城県栗原市の通大寺・金田諦應住職と、仲間の僧侶や牧師らが集結した。

「ホント、クソ津波だったねぇ。家族はどうだった? どなたか亡くなられた?」
「兄がね、流されてまだ見つかっていないんだよ」
「そうかあ、早く見つかるといいね。仮設は不自由でないかい」
「ここは本当に不便だよ。買い物に行くのもお店が遠くてね」

 出張形態の喫茶店「Café de Monk(カフェ・デ・モンク)」を主催する金田住職は、日に焼けた顔に丸い眼鏡がトレードマーク。言葉はやや乱暴だが、人懐っこい笑顔と優しい眼差しが、仮設での張り詰めた空気を和ませる。住職の周りには自然と車座ができていく。

僧侶に「モンク」を言いに来る

 被災者が心の問題を、抵抗なく語れる場を作れないか――。そんな想いで仏教や神道、キリスト教の宗教家に呼びかけて始めたこの「カフェ・デ・モンク」。2011年5月、金田住職は南三陸町の集会所で取り組みをスタートさせた。「モンク(Monk)」とは、英語で「お坊さん」を意味し、「被災者たちの文句(モンク)を、お坊さんが聴く」という思いも込めた。住職は、軽トラックに調理具などを積み込んで、北は岩手県山田町から南は福島県南相馬市まで、週1回のペースで被災地に足を運び続けている。

 カフェはお昼時から夕方まで開かれる。コーヒーやホットドッグ、ケーキなどの軽食を無料で振舞いつつ、住民たちと対話するのが狙いだ。

 「寒くはないかい」「夜はちゃんと眠れるかい」「話し相手はいるかい」

 金田住職の問いかけに、最初は心を閉ざしていた住民も、次第に打ち解けてゆく。

 仮設住宅に移り住み、「はじめて心を開くことができた」とホッとする老人がいる。この地での不自由な生活を口にする女性がいる。津波で家族が目の前でのまれ、助けられなかったと悔やむ男性がいる。夜が怖くて寝られないと涙ぐむ子供がいる。

 時には被災地に出没する“幽霊”に話題が上ることもある。

 「まだ見つかっていないおばあちゃんが夢枕に立った」「水溜りを見たら目玉が沢山浮かんでいた。供養して欲しい」。金田住職は「あれだけの数の人が瞬時に亡くなったんだ。(幽霊が)いる、いないではない。"見た"という人がいるのだから、幽霊がいることを前提に話を聞く。そして、場合によってはお経をあげて供養する。そうやっていくと、幽霊を見なくなる人も出てくる」と語る。

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「坊主と牧師、一緒に仮設カフェで「悩み」聴きます!」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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