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「“韓国の使用済み核燃料を日本で再処理する”ことはあってはならない」

福島第一原発4号機建屋に入った唯一の国会議員、馬淵澄夫・元国交相との対話(下)

  • 山岡 淳一郎

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2012年3月23日(金)

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(前回「46都道府県に使用済み核燃料を分散して保管する」から読む)

山岡:少し話の流れを整理します。原発は「トイレの無いマンション」と言われ続けてきました。ウラン燃料を燃やした後の使用済み核燃料の最終処分方法が確立されないまま建設され、いまも世界中で造られています。日本は、資源の有効活用をタテマエに、使用済み核燃料を再処理してMOX燃料をつくり、それを高速増殖炉、または一般の軽水炉で使う核燃料サイクル路線を推進してきました。しかし技術的にも経済的にも道理に合わない。

 1993年に7600億円の建設費で造られ始めた青森県六ヶ所村再処理工場は、20年ちかく経過しても欠陥、不具合続出で完成せず、建設費は、すでに約2兆1,900億円以上に膨らんでいます。仮に竣工しても、40年間の操業で処理できるのは累積した使用済み核燃料の半分。その間、危険性が消えるまで10万年かかるといわれる高レベル放射性廃棄物、低レベルの廃棄物も溜まり続ける。地震国日本では、放射性廃棄物を地下数百メートルに埋める地層処分は危険すぎて実現性に乏しい。まさに出口なし。フィクションです。

 そこで、馬淵さんたちは、いったん立ち止まって、核燃料サイクル路線を当面、中断し、どうするか考えよう、と。こう主張しておられるわけですね。

「受益と負担の原則でオープンな議論を始めなくては、裏工作とムラの論理で核燃料サイクルが動かされ、潜在的危険性は高まる一方」

横浜国立大学工学部卒業後、上場企業役員を経て政界へ。2003年衆議院議員初当選。2010年国土交通大臣・内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)、2011年民主党広報委員長などを歴任。東日本大震災発生を受け、同年3月内閣総理大臣補佐官(東北地方太平洋沖地震及び原子力発電所事故対応担当)就任、同年6月退任。現在民主党奈良県第1区総支部長

馬淵:はい。そうです。もちろん青森県は国策によって再処理施設を建設し、使用済み核燃料の「最終処分場にはしない」という国との約束があればこそ、再処理にも応じてきたわけで、凍結すれば、国は特別の措置を講じて青森の産業再興を支えねばなりません。手厚いサポートは当然です。

山岡:で、中断した場合、悩ましいのは原発サイトの燃料プールに溜まり続けている使用済み核燃料です。六ヶ所村に送れなければ原発自体が雪隠詰になる。原発は稼動を停止するしかない。ただし停めても膨大な使用済み核燃料をすでに抱え込んでいます。原発を動かせば、もっと増え続けるわけですが、すでに全国で1万3500トンの使用済み核燃料がある。さらに、六ヶ所村に貯蔵管理している高レベル、低レベルの放射性廃棄物を青森県は、国や電力会社に「引き取ってくれ」と言うでしょう。再処理前提で溜めていた使用済み核燃料や放射性廃棄物が行き場を失くす。これを国全体でどうするか。そこから目を背けてはいかん、と。

馬淵:ええ、だから沖縄を除く、46都道府県が、それぞれの原子力発電への依存度に応じて、使用済み核燃料を責任保管するという「考え方」を議論の出発点にして、知恵を出し合おうというわけです。受益と負担の原則でオープンな議論を始めなければ、延々と裏工作とムラの論理で核燃料サイクルが動かされ、潜在的危険性は高まる一方です。

山岡:責任保管の概念は新しい。大都市圏からは、とんでもない、使用済み核燃料の保管施設など真っ平だ、危険物を分散せてセキュリティはどうするのか、と反発は出る。現実的には難しい。賛否両論あるでしょうが、私たちがトイレの無いマンションに住んでいる負担を共有する考え方から出発しなければ、解決の糸口は見えないのですね。

コメント17件コメント/レビュー

「日本に停電がない」、という一種の伝説は、電力会社の地域独占と原発維持を正当化するための屁理屈として使われているだけです。 過去の原発トラブルと今回の地震・原発事故で改めて分かったことは、あるトラブル・事故が特定の原発に発生すると、同じ地域に存在する複数の原発が稼働しない状態が長期に継続するリスクと、更には、そのトラブルの原因が、原発の技術的欠陥・想定不十分に起因する場合、他の原発にも一気に波及し、大量の原発の同時的な不稼働状態が、超長期に継続するリスクが顕在化したことでした。その帰結が、昨年の春の計画停電、夏場の省エネ騒動、そして今年の来たるべき全原発停止問題という事になります。  2007年の新潟中越沖地震で停止に追い込まれた柏崎刈羽原発では、2,3,4号機が、その後一度も再稼働しないまま、今に至っています。 日本の無停電伝説は、原発をベースにした、余剰発電容量を正当化するための方便にすぎません。原発をベースロードにすることは、ベース部分の喪失が長期にわたって継続するリスクを抱えることです。 原発依存を止めること、夏の電力消費ピークに対して、余裕のなくなった発電容量に対しては、(非常時用)自家発電を促進し、それを政府が政策的にサポートすることで、停電対策は一気に進むでしょう。 馬淵氏には、つまらない無停電伝説に囚われることなく、電力自由化・総発電分離において、政策を大胆にリードしていただきたい。(2012/03/25)

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「日本に停電がない」、という一種の伝説は、電力会社の地域独占と原発維持を正当化するための屁理屈として使われているだけです。 過去の原発トラブルと今回の地震・原発事故で改めて分かったことは、あるトラブル・事故が特定の原発に発生すると、同じ地域に存在する複数の原発が稼働しない状態が長期に継続するリスクと、更には、そのトラブルの原因が、原発の技術的欠陥・想定不十分に起因する場合、他の原発にも一気に波及し、大量の原発の同時的な不稼働状態が、超長期に継続するリスクが顕在化したことでした。その帰結が、昨年の春の計画停電、夏場の省エネ騒動、そして今年の来たるべき全原発停止問題という事になります。  2007年の新潟中越沖地震で停止に追い込まれた柏崎刈羽原発では、2,3,4号機が、その後一度も再稼働しないまま、今に至っています。 日本の無停電伝説は、原発をベースにした、余剰発電容量を正当化するための方便にすぎません。原発をベースロードにすることは、ベース部分の喪失が長期にわたって継続するリスクを抱えることです。 原発依存を止めること、夏の電力消費ピークに対して、余裕のなくなった発電容量に対しては、(非常時用)自家発電を促進し、それを政府が政策的にサポートすることで、停電対策は一気に進むでしょう。 馬淵氏には、つまらない無停電伝説に囚われることなく、電力自由化・総発電分離において、政策を大胆にリードしていただきたい。(2012/03/25)

「本質的な議論を避けていては、何も始まりません。ぎりぎり、いまが事故を奇貨として転換できるかどうかの分かれ目です。」に、賛同します。「トイレのないマンション」という例え認識は、使用済み核廃棄物の処理困難有害・危険物という点で的確な表現ではなく対処を甘いものにすることに繋がる例えかたであったと思われる。。有望エネルギーという側面を全面化し安全神話に浸走ってきた原発(原子力)関連学者・識者特に政治家が、核使用済み燃料の処理の困難さをより正確に認識していれば、原発の導入はもっと最小限に扱い、悲劇も回避できたと思われる。今後の方向性としては、再処理技術確立に国際機関(例えばIAEA)で全世界を上げて推進早期に確立すべく日本はリーダーシップを発揮すべきです。核廃棄物の有害・処理困難性が正確に認識されるなら原発の利用拡大は国際的にももっと慎重になると思われる。被爆体験国家として、核廃絶を世界に訴え続けているん日本としては、この側面からも総合的にリーダーシップを発揮一層確立していく義務があります。馬渕前・元大臣のご尽力・活躍を大いに期待いたします。(2012/03/24)

原子力バックエンド問題勉強会の第一次提言では、当面の体制「責任保管」が提言されています。今後、責任保管の間にどのような方向に進むべきかについての方向付けが必要です。この方向付けの検討にあたって、次の特徴を持つトリウム溶融塩炉について、ぜひ勉強していただきたい。特徴:?テロで原子炉本体が壊されても放射性物質が広く飛散することはない、?これまでの原発で発生したプルトニウムや超ウラン物質を燃焼・消滅できる、?核兵器への流用が困難(古川和男:原発安全革命、文芸新書、2011)。この原子炉方式は、約30年前に提案され、当時の自民党国会議員団や経団連の土光会長等が実現に乗り出そうとした。第4世代原子力システムに関する国際フォーラムが、上記?が可能な溶融塩炉として、研究開発6システムの中の一つに選定している(外務省ホームページ)。日本の原子力委員会は、議論に乗せることを回避した。原発を推進してきた先達も、長期的には、本炉を採用することを提案(豊田正敏:原子力発電の歴史と展望、第1版、東京図書出版会、2008)。昨年1月、中国が正式に開発に乗り出した(亀井敬史:平和のエネルギー トリウム原子力?、雅粒社、2011)。(2012/03/24)

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三品 和広 神戸大学教授