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「大抵の仕事って、恐怖にかられてやるんじゃないでしょうか」

最終回 中里基取締役に聞く会津バスの1年

2012年3月22日(木)

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 新体制に移行し、少しずつだが社内の雰囲気も変わってきた会津乗合自動車(通称:会津バス)。オーナー系の会社から、役員総入れ替えで臨んだ1年、会社は何が変わり、何が変わらなかったか。第1回では路線統廃合の取り組み、第2回目では、タクシー事業へのてこ入れを取り上げた。今回は、企業再生支援機構から派遣されている中里基取締役に話を聞いた(聞き手は広野彩子)。

―― 元オーナー経営者の木村正晴社長らが経営から退き、新体制に移って1年。バスの路線統廃合、東京電力との賠償金交渉など、交渉に明け暮れた1年でもありましたね。

中里:再建に向けての作業は、目標数値の設定や余剰費目の削減、路線の統廃合などを通じた収支面での工夫、つまりは経済性に関する分析から始めていくわけです。でも実行局面である実務の現場では交渉、交渉の連続でした。企業再生は「経済」の問題だけではなく実は「政治」の問題でもあるのだと実感した1年でもありました。

 新体制が始まる時、「収支に対するインパクト」と「実現の確実性」の両面から施策の優先順位をつけてきました。具体的には、コスト削減と社内コミュニケーションから始めて、次に路線統廃合と補助金交渉。そしてグループ会社のテコ入れと増収策の順番です。おかげさまでまずまずの成果が出ていますが、この順番が崩れたらうまくいっていなかったかもしれません。

昨年は特殊、2012年にこそ真価が問われる

中里 基(なかざと・もとい)
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、日本IBM、マーサージャパン、コーポレイトディレクション(CDI)に在籍。2010年、企業再生支援機構に参画。機構の支援・出資先である福島県会津若松市にある会津乗合自動車株式会社(会津バス)の取締役を兼務、企画・営業・グループ戦略を統括。
(撮影:陶山勉)

 たとえばコスト削減は分析して進捗管理を確実にしていけば必ず一定の成果が出ます。一方で増収は、お金を出してくれるのはお客様なので、理屈だけではだめで、ある程度の理屈をよりどころにとにかく手を打ち、成功したら横展開、失敗したらすぐに改善か撤退というスピード感が求められます。「コスト削減は自社の努力、売り上げ拡大はお客様からの評価」という感じかもしれません。

 そういう意味で、売り上げ拡大に対する努力はまだ足りないと思います。振り返ると、全体としては改善してきていますが、多くは様々な交渉の成果やコスト面での努力です。震災による業績の落ち込みは大変なものでしたが、一方で大熊町から避難されている3300人の被災者の方の流入がありましたし、かつ人の出入りが活発になった面もありました。厳しかったとはいえ、ある意味特殊な状況だったので、2012年度にこそ真価が問われると思っています。震災を言い訳にはできません。

 また、現場主義はとても重要ですが、戦略や数字も同じくらい重要です。大切なのは「現場」か「理屈」かという二元論ではなく、取り組んでいる課題の特徴に応じてこの2つを組み合わせていくことだと思います。

―― 会津バスでの経験から「悲観的であることが重要」と感じたそうですが、どういうことでしょう。

中里:大抵の仕事って、やる気に突き動かされるというより、恐怖にかられてやるというのが近いんじゃないでしょうか。

 私の場合は、「よっしゃやるぞ」という前向きな思いというより、「何とかしなくては」という危機感にも似た思いに駆り立てられています。最近はそうでもないですが、震災直後数か月は、本当に不安で仕方がありませんでした。恥ずかしい話、自分の身の安全も正直言えばそうですし、燃料が日々減っていく恐怖、高速道路が通行できなければバスも動けず収入が成立しない。あの時の身のすくむような恐怖は、今もたまに思い出します。

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「「大抵の仕事って、恐怖にかられてやるんじゃないでしょうか」」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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