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「良いクルマ」を分かってもらいたい

マツダ、「正価販売」への執念

  • 加藤 修平

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2012年3月27日(火)

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 「正価販売をする」。マツダの山内孝社長は、自動車販売の現場にはびこる「値引き合戦」からの決別を宣言した。

 自動車にとって正しい価格とは何か。マツダは2011年6月、社内外にこう問いかけた。この時に発売した小型車「デミオ」は新エンジンを搭載し、10・15モードと呼ぶ燃費測定方式でガソリン1リットル当たり30kmの燃費性能を実現した。名実ともにハイブリッド車(HV)並みの低燃費を実現したクルマの価格は140万円。内外装を充実していることによる「装備差」があるとはいえ、ライバルメーカーの小型車と比べると、やや高めと言える価格だった。

 マツダはこの140万円について、顧客調査をした結果、140万円なら納得して買ってもらえる商品だと考えた、と説明している。自動車メーカーは当然、以前から顧客調査をしている。それは変わらないのだが、最近は価格だけでなく、「賢い買い物をしたい」という顧客の声が聞こえるようになってきているという。そういった顧客に、燃費に代表されるランニングコストの違い、加速やカーブでの走りの違いなどをきめ細かく説明し、理解してもらうことが、正しい価値=正価とも言える位置づけになる。

 社長自らが値引きから距離を置くと宣言する裏づけとなっているのが、このデミオのエンジンから市場投入を始めた「スカイアクティブ」という車両技術だ。エンジンや変速機、シャシーなどを一新する。エンジンでは「理想の燃焼は1つ」との信念のもと、燃焼効率の向上を追求。燃費だけでなく、低速のトルクも大きく改善して走りの良さを訴えている。

価格でなく、商品で売る

 今、国内市場はハイブリッド車(HV)と軽自動車の2色に染まっていると言っても過言ではない。特に年明け以降はトヨタ自動車が発売した小型HV「アクア」やホンダの新型軽自動車「N BOX」の販売が好調に推移している。マツダは内燃機関の技術刷新を前面に打ち出すという点でトヨタやホンダなどとは異なる商品展開だ。だからこそ、マツダの髙橋良二・国内営業本部副本部長は「価格でなく、商品で売る」と意気込む。

 エンジンから変速機、シャシーなどすべてを一新して2月16日に発売した新型SUV(多目的スポーツ車)「CX-5」はまさに、「正価販売」の旗手となる。マツダでは約7年ぶり、今の国内乗用車市場にはほとんど存在しないディーゼルエンジン車も投入し、他社と比べた独自性をアピールしやすい。

 ただ、自動車の販売現場で値引きは日常の光景だ。値引きまで至らずとも、政府によるエコカー補助金やエコカー減税など、購入価格で顧客の負担を減らす政策に合わせてキャンペーンを打つのが常道だ。

 そんな現場の雰囲気を変えるのに奇策はない。1人1人の意識改革だ。「売り手の視点ではなく、顧客の視点で期待に応えられているか。技術革新の価値をきちんと顧客に伝えられているかどうか」(髙橋副本部長)が重要だ。それができなければ、結局は価格という最も分かりやすい競争軸で顧客を誘引することになる。

 だからこそ、CX-5の発売にあたっては販売員の教育にはかつてなく力を入れている。

 まず昨年10月から今年1月まで全国9会場、延べ20日間にわたり、3000人の販売員を全国から集め、専用コースなどでの試乗を実施した。通常の新型車では販売会社ごとに1~2人、計100~150人程度の試乗にとどまるというから、同社としては空前の規模だ。

全国から販売員が集まり、実物のCX-5で勉強を重ねた

コメント4件コメント/レビュー

1リットル当たり40kmと宣伝しておきながら、実際には1リットル当たり20km走らないような、いままでの技術を寄せ集め、ただ軽くした車が「良いクルマ」と言われ、注目を集めてますが、、、せっかく車を購入するのであれば、新しい技術を開発し、技術に見合った価格の車を買うことのほうが、お金を使う価値があると思っています。なので、正価販売には、あまり抵抗はありません。ただ、自社の儲けだけに走らず、下請け企業や社会に配分がきちっとされれば。の話ですが。(2012/03/27)

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1リットル当たり40kmと宣伝しておきながら、実際には1リットル当たり20km走らないような、いままでの技術を寄せ集め、ただ軽くした車が「良いクルマ」と言われ、注目を集めてますが、、、せっかく車を購入するのであれば、新しい技術を開発し、技術に見合った価格の車を買うことのほうが、お金を使う価値があると思っています。なので、正価販売には、あまり抵抗はありません。ただ、自社の儲けだけに走らず、下請け企業や社会に配分がきちっとされれば。の話ですが。(2012/03/27)

価格競争だけが目標になった市場が早晩衰退してゆくのは明らかです。かつて日本の自動車メーカーが先進欧米メーカーに対してとった戦法がいま己の首を絞め、後発国メーカーの同じ手法によって苦境に立たされている。なぜベンツやBMWが低価格路線に走らずとも今なお存在し続けているのか。その間に多くの自動車ブランドが盛衰を繰り返したのはなぜか。そうした反省に立つと、価値あるものをその価値に対して適正な価格で販売するという当たり前の在り方が見えてきます。まず価値を生み出すことが出発点にあるべきです。マツダの軌道修正は、日本企業と消費者がようやく大人の経済観念を身に着け始めたと言う事なのでしょう。しかし欧州トップ企業並みの存在(規模ではなく)になれるかどうかはまだこれからだと思います。(2012/03/27)

やっと日本のメーカーが「良客を選ぶ」という商売の基本に立ち返ったようで、嬉しいです。「俺は客だぞ」とふんぞり返るような連中は、海の向こうに丁重に押し付けてしまえば良いのです。(2012/03/27)

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