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日本ができない「社会保障費の削減」に切り込む!

戦後初の左派連立政権を率いたシュレーダー首相ゆえにできた英断

2012年3月29日(木)

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 ヨーロッパでは2009年末にギリシャの債務危機が深刻化して以来、景気に暗雲が垂れ込めている。だが、ドイツ経済だけは快進撃を続けている。同国は2010年に3.7%、2011年に3%と他のユーロ加盟国を大幅に上回る成長率を記録した。前回お伝えしたように、2011年の輸出額は1兆ユーロの大台を超えて過去最高。自動車の輸出台数は、2010年に前年比23.7%、2011年に同6.6%増えた。2011年のドイツの勤労者数は4100万人を突破し、史上最高の水準に達した。

 ドイツ経済はなぜこれほど好調なのか。日本ではよく「ユーロ安のせいだ」という意見を聞く。確かに、欧州債務危機の影響でここ数年、円やドルに対するユーロの交換レートが大幅に下がったのは事実である。ドルに対するユーロのレートはこの5年間で8.6%、円に対しては5年間で32.8%も下落した。これが、ユーロ圏外向けのドイツの輸出にとって追い風になったことは、間違いない。

 だが、理由はユーロ安だけではない。もし、それだけがドイツの輸出が好調である原因だったら、他のユーロ加盟国もGDP成長率をドイツ並みに伸ばせたはずだ。しかし、フランスやイタリアの2011年の成長率は、ドイツの半分にも満たない。同年のドイツの貿易黒字は前年比2%増加して1581億ユーロ(17兆5000億円)に拡大した。これに対して、フランスは逆に700億ユーロ(7兆7000億円)の貿易赤字を記録した。これはフランス建国以来、最高の赤字額である。この差は、一体どこから来るのだろうか。

ドイツは2000年以降、価格競争力を高めた

 ライン河畔の古都ケルンに、ドイツ有数の経済研究所の一つ「ケルン・ドイツ経済研究所(IW)」がある。この研究所は、産業界や財界寄りのスタンスを持つことで知られている。IWのミヒャエル・ヒューター所長は2012年1月16日、ドイツと他のEU諸国の経済パフォーマンスの格差をテーマにした講演をベルリンで行った。

 ヒューター氏が注目したのは、ユーロ加盟国の単位労働費用(unit labor cost)の伸び方の違いである。単位労働費用とは、一定の製品やサービスを生み出すのに必要なコストのことで、労働者の報酬をGDPで割って算出する。経済競争力を分析する上で、重要な指標の一つだ。単位労働費用が上昇するということは、製品価格が高くなり、国際市場における競争力が低下することを示す。

 ヒューター氏は「1999年から2007年までにドイツの産業界は、単位労働費用を16%減らすことができた。これはフィンランド(23%減)に次いで、ヨーロッパでは最も大きな減少率だ。これに対し、ドイツ以外のユーロ加盟国では逆に、単位労働費用が同じ時期に約4%増加している」と指摘した。つまりユーロ誕生から8年の間に、ドイツは大幅に価格競争力を高め、他のユーロ加盟国に水を開けたのだ。

 IWの分析によると、債務危機に陥った国では特に単位労働費用の増加が著しかった。この時期にポルトガルの単位労働費用は約10%、イタリアとスペインでは20%、ギリシャでは40%以上増加している。つまりこれらの国では、一定の製品を生むために必要なコストが上昇し、ドイツに比べて価格競争力が大幅に弱まったのである。

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「日本ができない「社会保障費の削減」に切り込む!」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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