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百貨店に「メイドインジャパン」の再生はできない

変わらぬビジネスモデル、衰える販売力

2012年3月30日(金)

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 「メイドインジャパンを百貨店から!」という掛け声を最近よく耳にする。このコラムのタイトル通り「小耳」にはさむわけだが、非常に強い違和感がある。

 この「メイドインジャパン」の一環として、前回のこのコラムでも触れたように、百貨店や経済産業省の主導で「銀座ランウェイ」が企画され、3月24日に開催された。だが、興味もないし、所用で出かけていたので当日はインターネットの動画中継も見なかった。

SPに囲まれた経済産業相に興ざめ

 後日、知り合いから当日の写真を見せてもらった。枝野幸男経産相と東北の子供たちが並んでいる構図だった。これ1枚でイベントの是非を問うことが暴論に過ぎるのは分かっている。それでも、まったく心に響かない。東北の子供たちの笑顔には癒されるものの、ステージ上でSPに周りを囲まれた枝野大臣が登場するのは、まったく薄ら寒い演出だと感じる。

 個人的には、かつて大阪のファッションショーに故・横山ノック元知事が登場した姿と重なった。それでも横山ノック元知事はステージ上でSPには囲まれていなかったので、枝野大臣の演出は興ざめも甚だしいと言わねばなるまい。

 枝野大臣の登場もさることながら、そもそもこのイベントが心に響かないのは、イベントそのもの意義がよく分からないからである。

 「メイドインジャパン製品」と一口に言うが、百貨店はどの段階のメイドインジャパン製品を打ち出すつもりなのだろうか。メイドインジャパン生地で作られた製品だろうか。それとも、国内工場で縫製された製品だろうか。もしくは日本製の生地を使って国内工場で縫製された製品だろうか。

 国内工場で縫製された製品と言っても、多くの国内工場は中国人研修生を受け入れて作業をお願いしている。確かに「メイドインジャパン」かもしれないが、実態は「メイドバイチャイニーズ」なのである。中国人研修生を受け入れず日本人だけで運営している工場は少数派に属している。それに現在流通している衣料品で、日本国内で縫製されているのは1割くらいしかない。

 一方、日本製生地なら全国各地に産地がある。今回の「銀座ランウェイ」で採り上げられたデニムは岡山(児島、井原)と広島(福山)が有名だ。それ以外にも先染めシャツ生地なら西脇産地(兵庫県)、フェイクファーなら高野口産地(和歌山県)、ニットの和歌山産地、ステテコのクレープなら高島産地(滋賀県)、麻織物の湖東産地(滋賀県)、合繊織物の福井県、タオルの愛媛県今治と大阪府泉州産地、ウール織物の一宮産地(愛知県)、コーデュロイの浜松産地(静岡県)、ニットの新潟産地、絹織物の米沢産地(山形県)、東京近郊だと桐生と足利産地などがある。

 この中で、産地内で製品にまでできるのはデニムとタオル、ニットくらいで、あとはすべて生地の製造に留まっている。そういえば奈良にも靴下と肌着の製造工場が多くある。今回の「銀座ランウェイ」は「メイドインジャパン」という表題に対して、一番分かりやすいデニムという素材を選んだ。今後、メイドインジャパンの普及を続けるのならタオルやニット、奈良の靴下と肌着などもしっかりと打ち出すつもりなのだろうか。デニムのみで終わるなら掛け声倒れも良いところだ。

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「百貨店に「メイドインジャパン」の再生はできない」の著者

南 充浩

南 充浩(みなみ・みつひろ)

フリーライター、広報アドバイザー

1970年生まれ。洋服店店長を経て繊維業界紙に記者として入社。その後、編集プロダクションや展示会主催業者などを経て独立。業界紙やウェブなどに記事を書きつつ、生地製造産地の広報を請け負う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官