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谷垣禎一の「全員野球」と田中神話の列島改造

自民党政権の形成と高度成長の時代(後編)

  • 村井 哲也

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2012年4月6日(金)

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田中神話に育まれた「共存共栄」

「みんなで全員野球やろうぜ!」。政策の理解も深く政治姿勢も真摯なのだが、谷垣禎一は盛り下げの名手らしい。野党に転落した直後、新しく選ばれた自民党総裁の第一声としては確かにコケた。

 以後、民主党政権が惨憺たる状態でも、自民党の支持率は一向に上がらない。谷垣だけの責任にするには酷だが、野党第1党が頑張ってくれないと、政権与党の緊張感が弛緩して政党政治が機能しない。訳の分らぬ新党が乱立するスキも生まれる。

 宮沢喜一といい加藤紘一といい、公家派閥と言われた宏池会の伝統かもしれない。そんな気ないのだろうが、どこか他人事で気迫が伝わらない。振り返ってみれば、田中派は自民党の「責任派閥」だった。どんな汚れ仕事も上等で、脂ぎった気迫が伝わってきた。

 だが、「全員野球」を自民党の、いや日本政治の伝統文化に定着させたのは田中派だ。谷垣の言う「チームワーク」ではない。暗黙に意味するのは、誰もが最低限の満足を得る「共存共栄」だ。小沢一郎や小泉純一郎が破壊せんとした意思決定システムの中核にあたる。

 その源たる田中を語るには、2つの常套句がある。1つは、地方のルサンチマンだ。新潟の貧農に生まれ、「効率」の名の下に全てを簒奪していく東京を嫌悪した。田中にすれば、剥き出しの地方利益は、戦後民主主義から与えられた「平等」の機会だった。

 1つは、学歴のルサンチマンだ。貧しさゆえ小卒の出を強調する田中は(本当は中央工学校卒の出だが)、学歴エリートたる官僚に真っ向から対峙した。やがて、官僚にはない発想で見事に高度成長の時代に乗った。大蔵官僚は回想する。「全体のパイが大きくなれば大方の問題は解決できる考え方…時代の申し子」。

 人間的な魅力を感じさせる、多くの日本人が共感するイメージだ。だが、同時代の文脈から離れた歴史の後づけによる神話も多く含む。特に、秘書だった早坂茂三のイメージ戦略が大きい。その金権体質や土建開発を批判する立場ですら、田中神話に引きずられがちだ。

 ここでは、神話の実像と虚像の双方に目配りしつつ、列島改造への道のりとその歴史的な位置づけを試みたい。それは同時に、「共存共栄」の意思決定システムの定着を振り返る試みでもある。

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