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「セザンヌ展」から読み解く「近代絵画の父」の素顔

2012年4月12日(木)

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 ポスト印象派絵画の巨匠、ポール・セザンヌ(1839-1906年)は、しばしば「近代絵画の父」と言われる。近代絵画といえば、目鼻を奇妙に付け替えたような人物像のピカソや、独自の抽象表現を開拓したカンディンスキーに象徴される革新的な作風の印象が強い。目の前の事物や空想上の風景を描写するそれまでの絵画のありようを飛び越え、作家たちは画面上で別次元の世界観を展開させたところに、その特質がある。

ポール・セザンヌ《自画像》1875年頃
オルセー美術館 ©RMN(Musée d'Orsay)/ Hervé Lewandowski / distributed by AMF

 翻ってセザンヌの場合はどうだろう。代表作は、作家が暮らした地域の山の絵であったり、身近な人物のバストアップを描いた肖像画であったり。作品と向き合えば、風景からは自然の香りが漂い、それぞれが個性的に描かれた人物たちは人格を帯びたかのように何かを語りかけてくる。一方で、セザンヌの近代性を象徴するのが、「自然を円柱、球、円錐によって捉える」という考え方だ。画家、エミール・ベルナールと交わした手紙の中に記されているという。しかし、その言葉を胸に秘め、セザンヌの作品の前に立ってじっくり眺めても、即座に円柱や円錐が浮かび上がってくるわけではない。では、セザンヌの「近代性」はいったいどこにあるのだろうか。

 東京・六本木の国立新美術館で、油彩画を中心に約90点が並ぶ「セザンヌ パリとプロヴァンス」展が始まった(日本経済新聞社など主催、6月11日まで)。この展覧会ほど多くのセザンヌの作品を同じ空間で見られることはめったにない。この機会に、作家の深層に踏み込む「ツアー」に出かけたい。

 会場を歩くと、セザンヌが近代的な実験に挑んだ作家である前に、まずは目の前にある身近な光景を描いている作品が多いことに親しみを覚える。とはいえ、初期の1860年代に描いた風景画「林間の空地」や静物画「砂糖壺、洋なし、青いカップ」からは、絵の具自体が存在感を発するような強い主張を込めた跡を読み取ることができ、後年の表現の芽生えを発見することは可能だろう。

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「「セザンヌ展」から読み解く「近代絵画の父」の素顔」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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