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「カーボンニュートラル」では済まされない

バイオマスの持続可能な利用とは

  • 泊 みゆき

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2012年4月20日(金)

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 前回までに述べてきたように、バイオマスは持続可能な利用をしなければ、「再生可能」な資源ではない。

 これまでの歴史上の文明の多くは、地域の生態系、特に森林を耕地開拓のために伐採したり、木材や燃料として過剰に利用したりしたことが原因で滅びている。森林の減少が、木材供給や水資源の減少、地域の乾燥化などを引き起こし、社会が不安定化したところに気候変動や他民族の侵入などが起こって、とどめを刺されたのである。

 つまり生態系が維持できる範囲でバイオマスを利用しないと、私たちは経済社会の基盤すら失う恐れがある。

バイオマスの持続可能性指標

 このような問題意識のもとに、近年、さまざまな国や機関がバイオマスの持続可能性指標や基準を作成している。ここでは、世界バイオエネルギー・パートナーシップ(GBEP)が2011年5月に発表した、バイオエネルギーの持続可能性指標を例に解説する。GBEPは、G8サミットでの議論を経て設立された国際的な組織で、事務局はローマの国連食糧農業機関(FAO)内にある。もちろん日本も参加している。

バイオエネルギーの生産に伴う諸問題解決に向けたGBEP持続可能性指標

環境分野 社会分野 経済・エネルギー保障分野
  1. 1.
  2. ライフサイクル温室効果ガス排出量
  3. 2.
  4. 土壌質
  5. 3.
  6. 木質資源の採取水準
  7. 4.
  8. 大気有害物質を含む非温室効果ガスの排出量
  9. 5.
  10. 水利用と効率性
  11. 6.
  12. 水質
  13. 7.
  14. 景観における生物多様性
  15. 8.
  16. 燃料の原料生産に伴う土地利用と土地利用変化
  1. 9.
  2. 新たなバイオエネルギー生産のための土地分配と土地所有権
  3. 10.
  4. 国内の食料価格と食料供給
  5. 11.
  6. 所得の変化
  7. 12.
  8. バイオエネルギー部門の雇用
  9. 13.
  10. バイオマス収集のための女性・児童の不払い労働時間
  11. 14.
  12. 近代的エネルギーサービスへのアクセス拡大のためのバイオエネルギー
  13. 15.
  14. 屋内煤煙による死亡・疾病の変化
  15. 16.
  16. 労働災害、死傷事故件数
  1. 17.
  2. 生産性
  3. 18.
  4. 純エネルギー収支
  5. 19.
  6. 粗付加価値
  7. 20.
  8. 化石燃料消費および伝統的バイオマス利用の変化
  9. 21.
  10. 職業訓練および再資格取得
  11. 22.
  12. エネルギー多様性
  13. 23.
  14. バイオエネルギー供給のための社会資本および物流
  15. 24.
  16. バイオエネルギー利用の容量と自由度

化石燃料よりも温室効果ガスの排出が多い場合も

 まず環境分野では、ライフサイクルの温室効果ガス(GHG)排出量が一定以下に抑えられていることが指標として挙げられる。土地利用転換(詳しくは第1回第2回連載を参照)や、間接影響を考慮すると化石燃料以上に温室効果ガスを排出するバイオマスが予想以上に多いことが明らかになってきた。

 間接影響とは、例えば日本が利用するエタノールが、ブラジルのもともとサトウキビをつくっていた既存農地で生産されたサトウキビを原料とするもの(ガソリンに比べて60%程度の温室効果ガス排出削減になると算定されている)だとしても、日本のエタノール需要という新たな用途にサトウキビが向けられることで、もともとそのサトウキビが満たしていた砂糖やブラジル国内のエタノール需要を満たすために、新たにサトウキビ畑がつくられる可能性が高い。もしそれが草原や森林を開拓して耕地にされると、その生態系に蓄積されていた炭素が大気中に放出され、大量の温室効果ガスが排出される。

 この間接影響を算定するのは難しいが、世界的なトレンドの中から推定することはできる。例えば、米国環境庁(EPA)は、米国でのエタノール需要増加のためトウモロコシ生産が大豆生産に置き換わり、その大豆需要を満たすためにブラジルの牧草地が大豆畑に転換されるという間接影響を想定して、米国のバイオ燃料持続可能性基準である、再生可能燃料基準(RFS)のデフォルト(標準)値を定めている。

 ちなみに、米国の既存のトウモロコシエタノールのRFSの温室効果ガス排出のデフォルト値はガソリン比20%削減というものだ。つまり、ガソリンに比べたかだか2割しか減らない。温暖化対策として効果はあまり期待できないという水準である(米国のバイオ燃料政策の主目的は、農業政策およびエネルギー自給なので正当化されている)。

 その他の環境分野の指標としては、土壌、大気、水などの汚染、生物多様性などが挙げられている。

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