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日本語の壁は「バカの壁」

我が社の商品が中国で売れないと嘆く前に

2012年4月12日(木)

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 以前、北京大学の日本語学部生向けのセミナー講師に頼まれたことがある。「何をしゃべろう」と悩んだら、頭の中には「日本語の壁はバカの壁」というテーマが浮かんできた。『バカの壁』(養老孟司著)というタイトルの本が日本でベストセラーになったので、それにかけて、「日本語を一生懸命に学ぶことはとても重要だが、しかし、日本語だけがうまい“専門バカ”に決してなってはならない」と、日本語を学ぶ後輩たちを戒めるつもりで話をさせていただいた。

「日本語の壁」を意識したことがあるか

 中国の大学の作り方は昔のソ連の教育システムを継承したものである。北京には大学が集中する街があるが、そこにいけば、石油大学、通信大学、地質大学、言語大学、映画大学というように、専門別の大学がズラリと立ち並んでいる。

 しかし、専門を細かく分けすぎると実はいろいろ弊害もある。その1つは、専門分野の勉強にたくさんの時間を費やすために、逆に幅広い教養や知識を身につけることが疎かになってしまうこと。そういう人がいざ現実世界に出ると壁にぶつかり行き詰まってしまうこともある。日本人もそういうことをよく分かっていて、だから「専門バカ」という言葉を作ったのだろう。

 私は大学で日本語を勉強していたので、日本語を学ぶ人にもこのような専門バカが存在していることを身にしみて感じていた。たとえば日本人の先生から直接日本語を学んでいるので、発音やアクセントもネイティブの日本人に限りなく近い。それだけでなく表情や仕草も日本人を一生懸命真似している人がいる。しかしよく話してみると、自分の考え方を持っていないと分かり、日本語能力の高さとのギャップに逆にあ然とする。日本語が完璧でも他の常識や能力が著しく欠けていると、決して優秀な人材とはいえない。

 この話は決して日本語を学ぶ中国の学生だけが注意すべきことではない。日系企業にもこの「バカの壁」をいかに超えられるか、という課題が存在している。

 毎年、中国に進出する日本企業の数は増える一方である。これだけの企業が中国で事業を展開しようとしているから、当然ながら、中国の人材に対する需要も半端ではない。日系企業向けの調査をみると、中国での事業展開の課題には、トップが「人材問題」になっていることが多い。「どんな人材をほしいか」と聞くと、だいたいは専門性や仕事経験などを重視すると言うに決まっているが、しかし、実際、ほとんどの日系企業の人材採用をみると、やはり日本語ができることを優先していることが多い。

 上海のような日系企業の進出が集中している町では、日本語人材がもはや供給が需要に追いつかず状態で、日系企業同士が日本語人材を奪い合うこともしばしばである。

 実は、ここには大きな落とし穴がある。

調査現場で記録を日本語から中国語に変えた理由は

 私の最近の体験を申し上げよう。

 中国市場に商品を売り込みたい日本の会社が増えている。いつも私は「数字を盲信するな」「まず自分の商品を買ってもらいたい中国人の生の声に耳を傾けよう」と主張している。だから、日本人を中国に連れていき、直接、中国人の話を聞くようにしている。中国人がしゃべっている間に、手が空いていれば、私はできるかぎりパソコンを使って日本語で記録をとるようにしていた。

 最近、中国人女性を集めて、ある重要な消費者調査をした。その時も私と社員はパソコンを立ち上げ、グループディスカッションの内容を日本語で記録していた。しかし、途中から日本語をやめて、中国語で記録をとることに変更したのである。

コメント1件コメント/レビュー

『日本語の壁』が問題なのは中国だけではありません。日本がITサービスの世界で優れた技術やアイデアを持ちながらグーグルのような世界企業を生み出せない最大の理由も『日本語の壁』です。サービスに言語は付き物であり、日本語を使い続ける限りグローバルなサービス競争には勝てません。従って日本はコンシューマー市場から「戦略的撤退」を行い、ゴールドラッシュにおけるリーバイズのように「金鉱掘り相手の商売」に徹するべきです。(2012/04/12)

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「日本語の壁は「バカの壁」」の著者

徐 向東

徐 向東(じょ・こうとう)

CM-RC.com(株)中国市場戦略研究所 代表

北京外国語大学講師、日経グループ企業の首席研究員、上海事務所総監、コンサルティング会社の代表などを経て、2007年から(株)中国市場戦略研究所(cm-rc.com)と上海CMRC代表。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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『日本語の壁』が問題なのは中国だけではありません。日本がITサービスの世界で優れた技術やアイデアを持ちながらグーグルのような世界企業を生み出せない最大の理由も『日本語の壁』です。サービスに言語は付き物であり、日本語を使い続ける限りグローバルなサービス競争には勝てません。従って日本はコンシューマー市場から「戦略的撤退」を行い、ゴールドラッシュにおけるリーバイズのように「金鉱掘り相手の商売」に徹するべきです。(2012/04/12)

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