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オオサンショウウオの未来を守れ

日本ハンザキ研究所(5)

2012年5月2日(水)

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 オオサンショウウオは希少動物だ。特別天然記念物であるだけでなく、環境省のレッドデータでも絶滅危惧とされる。

 巣穴に適した「湧水のある川岸の穴」は、今の護岸された河川には望めない。だから、最近の兵庫県、広島県、三重県、愛知県などの河川改修では、オオサンショウウオのための人工巣穴を設けることがある。栃本さんらの働きかけで、こういう流れができたのは喜ばしい。

 堰やダムの存在も、オオサンショウウオにとっては逆境だ。よい巣穴を求めて、上流へとさかのぼる時には問題となる。研究員の田口さんが兵庫県の別の川で行った111頭の追跡調査によると、平均200メートルほど移動をするものの、追跡した111個体のなかで10個体が1キロ以上、特にある1個体は4キロも上流へ移動した(田口2009)。それが「自然な」行動なら、現状では、ダムはもちろん堰もオオサンショウウオにとっては大きな障害になる(昔の堰は大きな石を積んだ簡易なものが多く、上流への移動も容易だったが、今は川を横断するコンクリートの壁のようになっていて、ダム同様生息地を分断してしまう)。

 なお、オオサンショウウオが乗り越えやすい堰については、栃本さんや田口さんらによって考案され、兵庫県では実際に河川改修の際に考慮されるようになってきた。

日本ハンザキ研究所の近くを流れる市川の人工巣穴。(上段)。巣穴は川岸から少し離れたところに掘られ、下側の横穴で川とつながっている(下右)。台風の直後だったので、取材当日の朝、栃本さんと田口さんが確認しにいったところ、それまで巣穴にいたオスの姿はなく、土砂が詰まっていたために栃本さんが横穴を掃除していた(下左)。

 話を聞くうちに、ぼくが特に気になったのが2点。

 ひとつは幼生の生息環境。長寿な動物の場合、次世代の若い個体が育っていなくても、見かけ上はなかなか減っているようには見えない。ふと気づくと、年齢分布が高齢の方に偏り、種として滅びかけている、ということも起こりえる。

 野生でも、産卵直後の小さなものは見つかる。また、40センチメートルくらいの若い個体も見つかる。でも、その中間、特にまだ外鰓が残っている生後3年、4年くらいの幼生から30センチくらいの幼体はなかなか見られない。

水槽にいた幼体

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「オオサンショウウオの未来を守れ」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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