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日銀は“驚き”の政策で円高・株安再燃を阻止できるか

政治からの重圧を強いられる歴史的な局面へ

2012年4月23日(月)

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 このところ日銀がいつになく、さらなる金融緩和に前向きな姿勢を示している。白川方明総裁が18日の米ニューヨークの講演で、「当面、消費者物価(CPI)の前年比上昇率1%を目指し、それが見通せるようになるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れなどで強力に金融緩和を推進していく」と強調。この発言に前後して、西村清彦・山口広秀の両副総裁もそれぞれ講演で、「必要に応じて適切な措置を講じる」と述べ、正副総裁そろって27日の次回会合で追加緩和に踏み切る可能性の高さをにおわせた。

 そもそも、日銀が一段の金融緩和姿勢を強力に打ち出したのは2月14日の会合に遡る。CPIの前年比上昇率に関して、「当面は1%を目処とすることにした」と発表し、事実上のインフレ目標導入を表明したからだ。このことは、市場で「日銀が少なくともCPI上昇率が1%に達することが見通せるまで金融緩和を継続する」との解釈を誘った。このころ欧米経済に広がっていた明るい兆しも重なり、一層の金利低下を見込んだ円安と、それに伴って輸出企業の為替採算改善を期待した株高が一気に進んだことは記憶に新しい。

 しかし、この動きも今月に入ると息切れが目立ち、「日銀プレミアム」はずいぶんはげ落ちてきた。それだけに、正副総裁そろって金融緩和への前向きなメッセージを発する異例の状況下で、27日の追加緩和を確実視する声は増えている。その根拠とされるのは、日銀が同じ日に取りまとめる経済見通し、「経済と物価情勢の展望(展望リポート)」の中で、物価の見通しがまだ「1%」に程遠いとみられるためだ。

 日銀が打ち出す新たな物価見通しについて、市場では、2012年度が「ゼロ%台前半」、13年度が「ゼロ%台後半」との観測が出ている。それぞれ「プラス0.1%」「プラス0.5%」とした1月時点の見解からわずかに高い水準だが、2月に宣言した「1%」の目処には及ばない。目標に達していない見通しを示す以上、そのことに整合的な政策判断として追加緩和は避けられないというわけだ。

 しかも、日銀自ら、金利上昇が金融システムに悪影響をもたらす内容のリポートをまとめたことも、追加緩和観測を後押ししている。4月の金融システムリポートで、「国内金利が一律1%上昇した場合、金融機関が保有する債券の時価評価で、大手銀行が3.4兆円、地域銀行が3.0兆円の損失を被る」と試算した。特に地方の金融機関が国債の保有を増やしており、地域金融への影響が大きいことを物語る内容だ。長めの金利にも低下圧力を及ぼすような強力な緩和策が日銀に求められるとの見方を誘った。

 問題は、これらの市場の期待に日銀が応えられるような、インパクトのある緩和策を打ち出せるかどうかだ。スペインで国債入札が不調なほか、米国では雇用情勢への楽観的な見方が後退するなど、今回は2月とは裏腹に欧米景気の援護射撃は期待できそうにない。

 日銀が会合を開く前の24~25日には、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策運営を話し合う米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く予定だ。今のところ、量的金融緩和の第3弾(QE3)が早期に導入されるとの予想は多くない。しかし、3月の米雇用統計で市場予想ほどの改善が確認できなかった雇用情勢を中心に、このところの米国の景況感は芳しくない。FOMC後に発表される声明で、金融緩和姿勢の継続が強調されるようだと、ドル安圧力につながることも考えられる。この場合、日銀が追加緩和を決めても、その分だけ円安効果が相殺されてしまいかねないだけに、日銀にとって外部環境も政策判断の重要なファクターと言える。

市場にサプライズを与える追加緩和策とは・・・

 こうした中で、市場に「良い驚き」を持って迎えられる緩和策がどの程度のものかについて、市場関係者の間でも算段が始まっている。「よほど思い切った追加緩和措置を決めない限り、短期的に、円高と日本株安が復活するリスクがかなり大きい」(クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミスト)とみられるためだ。市場の主な声を総合したのが、下の表にあるような策だ。

市場の失望を誘えば円高・株安に拍車

市場が求める「サプライズ」と受け止めそうな政策案の一覧

  • 1.資産買い入れ等基金の枠を10兆~15兆円拡大
  • 2.対象国債の残存年限を今の「2年以内」よりも長い「3~5年程度」に拡大
  • 3.購入対象商品を外債などまで広げる
  • 4.買い取り期限の1年延長
  • 5.物価安定の目処を今の「1%」より高い「2%」に引き上げ

 この程度まで踏み込まない限り、市場に「ポジティブ・サプライズ」を与えることができないというわけだ。

 もっとも、日銀がここまで思い切ることについては、冷ややかな見方が少なくないようだ。宮尾龍蔵審議委員1人が3月会合で提案して否決され、4月上旬の会合では提案そのものを見送った「資産買い入れ枠の5兆円拡大」程度では、市場の失望を誘い、円高と株安を招きかねないという。

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「日銀は“驚き”の政策で円高・株安再燃を阻止できるか」の著者

松村 伸二

松村 伸二(まつむら・しんじ)

前日経ビジネス副編集長

日刊紙の日本経済新聞、リアルタイム速報の日経QUICKニュース(NQN)、テレビの日経CNBC、週刊誌の「日経ビジネス」と、日経グループの様々な媒体を渡り歩き、マーケット記事を中心に情報発信を続ける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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