• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

これが新しい宇宙の常識だ

国立天文台・太陽系外惑星探査プロジェクト室(5)

2012年5月21日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 話は、1995年、スイスのジュネーブ天文台のグループがペガスス座51番星に「最初」の系外惑星を発見した時にさかのぼる。

 田村さんによれば、これは研究者にとって、世界がひっくりかえるような衝撃だったという。

「天動説から地動説というのと同じぐらいの衝撃でした」(写真:藤谷 清美、以下同)

 「いきなり木星クラスの系外惑星が見つかって、しかも、それが周期がたった4日しかなかったんですね。これは、天文学、惑星科学、あるいは地球科学をやっている人にとって大問題だったんです。それまでの惑星太陽系の中にしかサンプルがなかったから、すべて太陽系を基準に考えていた。それがひっくり返されました。それこそ、天動説から地動説、っていうのと同じ感じで。"世の中"には、たくさん星があって、その周りには太陽系とは違ったタイプの惑星があるんだと、世界観が変わったわけですよね」

 公転周期が4日の木星型惑星というのは、本当に想定外だったそうで、惑星形成理論の標準的な説では説明が付かなかったという。すぐさま移動モデルというものが理論家によって提唱されて、説明可能になったそうだが。

 それよりも、ぼくにとって印象的だったのは、田村さんが「世の中」という言葉を使ったことだった。これまで太陽系の惑星しか知らず「井の中の蛙」だったのが、系外惑星を知ることで一気に宇宙的「世の中」の常識を知ることになる。95年の発見以降、主星に近い木星型惑星、いわゆるホットジュピターは多く発見されたから、まさにこれが「世の中の常識」で、我々の太陽系はありうるバリエーションの一つと強烈に意識づけられた。

 前にも言及したけれど、田村さんたちが、すばる望遠鏡で発見した、100万年の若さの星にすでに惑星が出来ているという発見(既存の理論では1000万年以上かかるとされているそうだ)も、理論に修正を迫るものだった。

 また、今年になってからの、ケプラー衛星による大量発見では、「惑星の砂漠」と予測されていた領域で、多くの惑星が見つかった。これは惑星の質量と公転軌道の半径(正確には楕円の長半径)の組み合わせで、「ありえない」とされていた部分にも多数の惑星が見つかったとのこと。

 実際の観測に刺激され、「世の中」の常識が書き換えられる。それにともない、惑星がどうやってできるかという理論的な部分でも、今後、大きな展開が期待できそうだ。

コメント2

「研究室に行ってみた」のバックナンバー

一覧

「これが新しい宇宙の常識だ」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官