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「五大陸制覇、最初はバカなと思いました。でも彼には彼のスピード感がある」

第4回:米倉誠一郎・一橋大教授に聞くバングラ版"ドラゴン桜“の意義

  • 伊藤 暢人

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2012年5月8日(火)

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早稲田大学の学生である税所篤快さんは、バングラデシュに乗り込みDVDに録画した現地の有名予備校講師の授業を使った勉強方法を取り入れた(第1回)。地方の貧困な学生を励ましながら、なんとか1年目に名門ダッカ大学などに生徒が合格させた(第2回)。そして、2年目にバングラで教室を拡大しようとしたものの挫折、3年目はその経験をバネにルワンダやヨルダンにまで展開を広げようとしている(第3回)。一見、無鉄砲にも見える活動は、どのように受け止めればいいのだろうか。税所さんが師と仰ぐ、一橋大学の米倉誠一郎教授に聞いた。

(聞き手は、伊藤暢人)

これまで3回にわたり、税所さんのバングラデシュから始まった教育革命について記事を掲載してきました。ですが、40代や50代の方々には、彼の活動は無鉄砲にも見えるようで、「応援はするけれども、こういう若者がいることに驚いた」という声が聞かれます。そこで、彼の活動を米倉先生に読者に分かりやすいように解説してもらいたいのですが。

米倉:なるほど。分かりました。
 私が税所君と初めて出会ったのは、彼がまだ高校生の時でした。一橋大学イノベーション研究センターなどが実施していた「高校生にイノベーションを教えよう」というプログラムに参加していたのです。自動車やカメラ、何だって実はイノベーションの固まりで、そういうものを作っている人たちがたくさん日本にはいるということを高校生に知ってもらうことが狙いでした。

 だいたい1回につき400人ぐらいが参加しました。彼らに作文を書いてもらい、その中から10人ぐらいを選んで、中国に連れていったりしていました。ある回に税所君の作文が認められて、一緒に中国に行きました。

一橋大学イノベーション研究センター 米倉誠一郎教授
(写真:丸毛 透、以下同)

 大学入学の直後には暗中模索していたようです。そして、自分で、バングラデシュ行きを決めました。ちょうどその頃、偶然、私も、東京でムハマド・ユヌス博士と対談して、「何かできることがあればやりたい」と思っていました。そこで、私は税所君の協力を得て日本の学生100人をバングラデシュのグラミン銀行に連れていきました。
 その後、学生や社会人を連れて行ったりしているうちに、ダッカにある予備校の授業をDVDに納めて田舎で見せる「e-Education」というのを始めるというので、いいじゃないかと。まあ、考え方としては面白いですよね。そうして苦労しながら進めているうちに、合格者が出た。

 すると、彼は調子に乗りやすいので(苦笑)、五大陸制覇と言い出した。
 僕は、「バカな。もっと良く考えろ。バングラでうまくいくかいかないかも分からないのに、マスコミ受けするようなことばかりを追っかけても、大成しない」と言ったんです。すると、「そういう次元じゃないですよ。先生はいつもスピードだと言っているじゃないですか」と反論されて、「まあ、それはそうだな。じゃあ、いいんじゃないか」と思ったわけです(笑)。

 大人は「もうちょっと地に足の着いた」とか言いがちですけれど、彼らには彼らの価値観、スピード感があるのです。

バングラデシュから急にフィールドが広がりましたが。

米倉:それで、彼を支援していこうと思っていたところ、3月に僕は南アフリカ共和国のプレトリア大学の日本研究センターの所長になりました。南アに就任のあいさつに行くことになったので、ルワンダにも立ち寄ることにしました。現地で活動している青年海外協力隊の村上由里子さんは、2年前にバングラデシュに一緒に行ったメンバーだったからです。

 当時、彼女は女子大生だったのですが、肝っ玉が座っていましたよ。途上国の支援に本気になって、本当に青年海外協力隊に入ってルワンダに赴任しました。そのつてを使って、税所君はルワンダに入ることにしたわけです。僕らは南アの帰りにルワンダに行き、現地の教育大臣とも会いました。

 ルワンダで驚いたのは、現地で我々の活動を手伝ってくれる女性が化学の博士号を持っているんですが、その博士号を中国でもらったというのです。私が南アの研究所長になろうと決心したのは、去年行ってあまりにも日本の存在感が薄くて、韓国、中国が目立っている。これはいけないと思ったからです。中国は今、大学教育に力を入れており、留学生の受け入れなどでも存在感が大きくなっています。

 それで彼女を顧問にすえて、いい先生を選んで、ルワンダでは化学の授業を映像化します。現地では高校の半分には実験室がないですから。実験をビジュアルで見せて無味乾燥な勉強を変えてみたい。実験を目の前で繰り広げてくれると、ああ、そういうことかと言って何人かの学生の心に火が付いて勉強しようと思って、受験を頑張り始めたりすると我々はうれしいなと思うんですね。今回はそれをルワンダでやろうとしています。

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