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米中ともに戸惑った陳光誠事件

弱腰批判を避けたいオバマ政権、政法委の改革を迫られる中国

2012年5月10日(木)

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アメリカ側の対応に残る謎

 盲目の人権活動家・陳光誠氏が、軟禁されていた山東省臨沂(りんぎ)沂南(ぎなん)県にある自宅を脱出したのは4月22日のことだった。BBCの中文網(ネット)及び米ワシントンにあるVOA(Voice of America)がアメリカ大使館にたどり着くまでの経緯を詳細に伝えている。証言したのは、海外にある人権団体「対華援助協会」(非営利的キリスト教人権機構)の責任者。それによれば脱出させたのは中国で秘かに組織されている人権保護団体「陳光誠を救援する会」の何培蓉(か・ばいよう)と郭玉閃(かく・ぎょくせん)氏とのこと。「陳光誠を救援する会」は「対華援助協会」と連携を持っている。

 この時、陳光誠氏は政治亡命する気持ちは全くなく、中国を離れる気持もさらさらなかったそうだ。したがって、何培蓉と郭玉閃は陳氏に「キリスト教会の人権活動家に助けてもらって海外逃亡を図ってはどうか」と提案したが、陳氏はそれを選ばなかった。そして北京へと向かった。北京で、陳氏の支援者の一人である胡佳(こ・か)氏と落ち合った時には、陳氏は足の怪我と疲労により立ち上がることもできなかった。胡佳氏は「私たちの最も大きな目標は陳光誠を安全な場所に連れて行くことだ」と仲間に言った。

 そこで、安全を確保するには「アメリカ大使館」以外にないという結論になり、アメリカ大使館に連絡。ニューヨーク・ポストは、アメリカ大使館では、米国務省で法律顧問を務める韓国系アメリカ人である高洪柱(Harold Hongju Koh)が対応したと伝えている。高洪柱氏は、国家安全法と人権問題の専門家で、エール大学法学部長を務めたこともある。中国語も堪能だ。この時、偶然にも北京に出張中だった。

 アメリカ大使館は、陳氏が盲目であるだけでなく重傷も負っていることを理由に「短期的な人道支援」を提供することを決意したとのこと。ニューヨーク・ポストの記事を転載している5月3日付のカナダ華人華僑圏中文網「カナダ大家園」には、「華府」と相談の上、決議したとある。「華府」とは「ワシントン政府」のことで、Washingtonという音を「華盛頓(ホワ・セン・ドゥン)」と音訳したことに始まる。「ホワイトハウス」あるいは「アメリカ政府」を指す。

 アメリカ大使館は陳氏の特殊事情を勘案して、大使館の車を配して、動けなくなっている陳氏を乗せた車の方向に迎えに出向いた。その地点は北京にあるアメリカ大使館から西へ数キロの場所であったという。そこで陳氏を拾い上げ、アメリカ大使館の車に乗せて大使館まで連れて行ったというのである。

米大使館が陳氏を迎えに行った

 今回の一連の事件が国際問題化したすべての起因は、この瞬間から始まった。

 中国政府が、「アメリカの非合法的な恥ずべき外交非礼」としてアメリカに謝罪を求める原因がここにある。外交部の劉為民・スポークスマンが、このメッセージを何度も発している。

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「米中ともに戸惑った陳光誠事件」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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