• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

人間がもっている「無から有を生む」能力を引き出せ!

第1回 三鷹光器 “町工場の巨人”が描く日本の未来

2012年5月18日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 この国を取り巻く光景は「3・11」を境に大きく変わった。原発に依存したエネルギー体制は瓦解、圧倒的な強さを誇ったものづくりは踊り場に立っている。それに、安寧の基盤である社会保障の持続可能性に疑問符がつく一方、統治機構と国民の破鏡も抜き差しならないところに来ている。先送りし続けた宿痾は3・11を経て、加速度的に悪化しているように見える。

 この国は過渡期にある。今、直面している現実は従来の価値観や社会システムの変容に伴う痛苦と言ってもいいかもしれない。その先の絵姿は薄霧の向こう。ただ、“新しい何か”を作りだそうとしている人々がいることも確かである。次の時代に、新しい仕組みが生まれるとするならば、こういった人々の試行錯誤の先にあるのではないだろうか。激動のポスト3・11。来るべき世界のクリエイター(創造者)を描く(敬称略)。

 長野県富士見町――。2010年に廃校になった旧南中学校の敷地では、ある実験設備が急ピッチで作られている。「ビームダウン式太陽熱集光装置」。東京・三鷹市の中小企業、三鷹光器がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けて進めている太陽蓄熱発電の実験プラントだ。

2600枚の鏡で電気を作るミタカ方式

 その仕組みは至って単純だ。校庭に並べた反射鏡(ヘリオスタット)で太陽光を反射、高さ20mに設置された凹面楕円鏡を通して地上の集熱装置に太陽光を集める。その太陽熱で装置内の溶融塩を400~500度まで過熱、蒸気タービンを回していく。太陽光発電とは異なり、24時間発電が可能なのは蓄熱発電のため。今回の実験では、20mのタワーで250キロワット級の出力を確保した。

 もちろん、シンプルな構造の中には三鷹光器の技術の粋が集まっている。今回の実験で使うヘリオスタットは2600枚(直径50cm)。その表面は100万分の1の精度を誇る。凹面楕円鏡を活用して集光効率を高めているのも同社の特許。エネルギーの未来を一変させる可能性を持つミタカ方式には、欧州だけでなく、石油以外のエネルギー源を模索している中東諸国も熱い眼差しを注ぐ。

三鷹光器が開発したビームダウン式太陽熱集光装置。これと同じものが長野県富士見町に設置される。(以下、特記なき写真・画像は三鷹光器提供)

 「町工場の巨人」との異名を持つ三鷹光器。これまでにも、大手企業を向こうに回した製品開発で幾度となく世の中を唸らせてきた。1966年に天体望遠鏡メーカーとしてスタートすると、ロケットやバルーンに搭載する観測機器の製造に乗り出し、オゾンホールやブラックホールの発見に大きく貢献した。1981年には三鷹光器が作った特殊カメラがスペースシャトル・コロンビアに搭載されている。

 この手の観測装置のほかにも、脳外科手術用の顕微鏡や非接触の三次元測定器でも高い評価を得ている。

唯一無二の製品を作り続ける町工場のなぜ

 同社の手術用顕微鏡は他社の製品に比べて小さく、顕微鏡が執刀医の頭の上から下りてくるため、手元スペースを十分に確保することができる。この技術のライセンスを受けているライカマイクロシステムズが北米で50%を超えるシェアを確保しているのも、作業性のよさを執刀医に評価されているからにほかならない。

 もう一方の三次元測定器も1ナノメートルから130ミリメートルを非接触で測れる優れもの。バルーン用観測装置の仕組みを応用した測定方法はISOに登録された。ビームダウン式太陽熱集光装置も国内外の注目を集めている。売上高28億円、社員数47人に過ぎない三鷹光器。その存在感は圧倒的だ。

 それにしても、規模や資源に劣る町工場が独創的な次々と製品を生み出しているのはなぜだろうか。その解を探るには同社の代表取締役、中村勝重の半生を紐解くことが不可欠だろう。そして、その軌跡を紐解くことで、来るべき時代に求められるものが浮き彫りになる。

コメント0

「ひらめきの一刹那」のバックナンバー

一覧

「人間がもっている「無から有を生む」能力を引き出せ!」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長