「ニッポン企業のための新興国ガイド〜インドネシア編」

「ローン規制」と「ガソリン補助金の抑制」が自動車市場の成長を左右

市場の健全な拡大にカギを握る政府の力量

  • 川島 佑介

>>バックナンバー

2012年5月23日(水)

1/3ページ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック
  • Facebookでシェアする 0

印刷ページ

 2012年、インドネシア自動車市場は順調な立ち上がりを見せている。1月〜3月までの販売台数は前年比11%増の25万台を記録。このままのペースでいけば、年間100万台の大台が見えてくるペースだ。

 今年に入ってからの日系自動車メーカー各社の動きも非常に活発だ。三菱自動車は小型SUV「アウトランダースポーツ」、日産自動車は新興国向けの低価格ブランド「ダットサン」、スズキは小型MPV「エルティガ」の現地生産・販売を発表するなど、新モデルの投入計画が相次いで発表されている。一方で、その他の外国メーカーでも中国奇瑞汽車が2月に輸入販売会社を設立、仏プジョーはLCGC(低価格のエコカー)政策に対応した低価格車の現地生産に関心を持っていると報じられた。

 前回は順風満帆に見えるインドネシア自動車産業についてまとめた。果たしてそこに死角はないのか? 連載第2回の今回は、現在インドネシア自動車産業が直面している短期的・中長期的なリスクと課題を整理していきたい。

ローン規制と補助金付きガソリンの制限で市場は?

 好調な立ち上がりを見せたインドネシアの2012年の自動車市場だが、年央から年後半にかけてその勢いは減速し、年間販売台数は90〜95万台程度に着地するとの予測が大半を占める。市場減速の1つの要因と考えられているのが、12年6月から施行される予定のローン規制だ。本規制では、融資の増加による不良債権の拡大リスクを抑えるため、4輪車の頭金比率が銀行30%以上、ファイナンス企業25%以上に設定された。これまでの頭金比率は15%〜25%が一般的であったことから、初期費用の増大につながり、エントリー層の買い控えが懸念されている。

 また更に大きな影響が予測されるのが、補助金付きガソリンの供給制限だ。インドネシアで販売される政府補助金付きガソリン(PREMIUM)の価格は、4500ルピア(4月1日時点/約39円)。対象外のハイオクガソリンの価格と比較すると大幅に価格が抑えられている。この補助金付きガソリンのための政府支出額は、2011年予算ベースで127兆7000億ルピア(約1兆1100億円)にのぼり、財政悪化の要因として以前から問題視されてきた。

 そうした中、政府は4月1日から補助金付きガソリンの価格を6000ルピア(約52円)に引き上げる計画を進めていたものの、国民の激しいデモや連立与党の足並みの乱れにより、直前に導入を見送った。但し、最新の報道では、首都圏から順次補助金付きガソリンの供給を制限する方向で検討を進めているとも報じられている。現時点でも先行きは不透明な状況だが、財政的な観点からこのまま放置される可能性は低く、近いうちに何らかの対応が取られることは避けられないだろう。

 購入初期費用の増大につながるローン規制、保有コストの増大につながる補助金付きガソリンの値上げ/供給制限。この2つのネガティブ要素が自動車市場に与えるインパクトの大きさが、12年のインドネシア自動車市場を左右することになる。

インドネシアのガソリンスタンド

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



バックナンバー>>一覧

関連記事

コメント

参考度
お薦め度
投票結果

コメントを書く

コメント[0件]

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事